第六十五話「フェレス島」


テオドーロにモースのことを報告すると

第七音素が大量に消費している

海を移動する場所があることを未来達は知る。

そこでアルビオールで調査をすることになった。

「移動施設かしら。

我が軍のタルタロスのような…」

アルビオールに乗ろうとユリアシティを出た時

ぽつりと未来がつぶやく。

「でもお祖父様はもっと大きなものだろうと…」

「だとしたら尚更気になるわ。

もしタルタロスより大きな陸艦があるなら

聞き捨てならないもの」

こんな場なのに、未来の瞳は輝いている。

「未来って、もしかして軍事オタク?」

アニスは苦笑し

「そのようですね」

「知らなかった…」

未来を愛する二人も驚いた様子だった。


アルビオールで海上を飛んでみると

大きな島が見えた。

それも動いている。

ひとまず降りてみることになった。


「ここは…まさかフェレス島?!」

「そうだ!ホドの対岸にあった、あの島だ!」

未来のつぶやきにガイが納得する。

「フェレス島は確か

ホド消滅の影響で津波につぶされましたね」

「でも…いくら津波に襲われたとしても

陸が浮島になるなんて…」

ジェイドとティアがそんな話をしていると

「死ね!」

神託の盾の兵士が三人、二人を襲った。

「瞬迅槍!」

「散りなさい!インリィノクターン!」

すかさず攻撃するジェイド達は

さすが軍人だ。

「荒れ狂う流れよ!スプラッシュ!」

そして未来の譜術で兵士は全滅した。

「何でここに神託の盾が…」

「わからないですわ。気を付けていきましょう」

ルークとナタリアのセリフに

全員がうなずいた。


しばらく島を歩いたが、同じような建物が続く。

ガイの説明では一人の建築家が

全てを監修したらしい。

「なるほどねぇ」

「何が『なるほどねぇ』だ。

あんたの方が詳しいだろう?」

知らないふりをするジェイドに

ガイは呆れた。

「いえいえ、とんでもない。

説明なんてまっぴらです」

「だからガイにいつも押しつけているのね」

「未来も、ね」

納得した未来にアニスが笑う。

「ええ。

私しか知らない知識ならともかく

一般教養は他の人にお任せしたいですね。

体力を消耗してしまうので」

「まあ。

そんなに疲れることではありませんでしょう?」

ナタリアが不思議そうに聞くと

「なにぶん年寄りなものですから」

ジェイドはわざと老人のような声色をした。

「よく言うよ…

そういえば未来って何歳なんだ?」

「まあ、ルーク!

女性に歳を聞いてはいけませんわ!」

突然のルークの質問にナタリアが慌てる。

「え?そうなのか?」

「いいのよ、ルーク。

けどみんなよりはお姉さんで

ジェイドよりは年下とだけ言っておくわ」

そう言って笑った未来の顔は

確かにお姉さんのように優しかった。


廃墟の最深に泣いているアリエッタがいた。

フェレス島は自分の故郷で

ここはヴァンが作った自分の船だと言う。

アリエッタの話は徐々にイオン様のこと

アニスへの抗議へと変わった。

「なのにアニスはイオン様を裏切った!

未来が助けたけれど

アニスはイオン様を殺そうとした!

仇を取るためにも

アリエッタは負けないから!」

アリエッタはそこまで言うと

魔物に乗ってその場を去った。

「アニス…アリエッタと本当に戦うの?

互いの命を奪うまで?」

「うん、もう決めたから」

心配そうに聞いた未来に

アニスは無理をして笑った。



to be continued

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