第六十三話「気晴らしのバザー」


ナタリアには

「例の預言士が向かったようだ」

と嘘をついたまま

ナタリアの乳母を求めて

ケセドニアへ到着した。

すると本当に預言士が見つかる。

それは仮面をしていない

素顔のシンクだった。

地核に沈んでも生きていたシンクは

イオン様の真似をして

アニスを動揺させる。

「ナタリア。

すみませんが、アニスを連れて

気晴らしにバザーにでも行ってください。

私達は預言士に気を付けるよう

アスターに伝えてきます」

ジェイドがそう言うと

ダシにされたアニスが無言で怒ったが

「なら、私もアニスと一緒に行くわ」

「え?いいの?」

未来の言葉に少し嬉しそうになった。

「もちろん!行きましょう」

「えへ、未来も一緒ならいいや」

アニスは嬉しそうにジャンプをする。

「どういうことですの?」

「な、なんでもないわ。

行きましょう」

未来は慌ててナタリアの背中を押した。


「あ!この髪飾り、かわいい!」

「あら、アニスに似合いそうですわね」

アニスが見つけたのは大きな花の髪飾りだ。

「ナタリア。

この飾りはあなたのドレスと同じ色じゃない?」

未来も青い髪飾りを見つける。

「じゃあ、今度は未来のを見つけなくちゃ」

「わ、私はいいわ。

戦闘に集中したいし…

それにかわいいのは似合わないから」

アニスの提案に未来は慌てた。

「小さな飾りなら、邪魔にはなりませんし

せっかく綺麗な銀髪なのですから

用意すべきですわ」

「そうそう!

恋愛する女の子は、おしゃれをしなくちゃね〜」

そんな話をしながら

結局三人とも、自分の髪飾りを買うことになった。


「あれ?アニスにナタリア…」

「髪飾りを買ったのね?」

アニス達が髪飾りを装着していると

ルークとティアが戻ってきた。

「おや?未来は買わなかったのですか?」

ジェイドは不思議そうに聞き

「わ、私は…」

未来はまだ髪飾りをつけられずにいた。

「ねえ、アニス…本当に似合うかしら?」

小声で未来がアニスに聞くと

「大丈夫だってば」

とアニスは返す。

さらに

「大佐〜未来は大佐につけてほしいそうでーす」

とジェイドに嘘の報告をした。

「え?そんなことは…」

「そうならそうと言ってください」

ジェイドは笑顔で未来が握っていた

青い花の髪飾りを持った。

「動かないでくださいね?」

「う、うん」

ジェイドが未来の艶がある銀髪に触れる。

ただそれだけなのに未来はドキドキした。

「あ…ありがとう、ジェイド」

「お似合いですよ」

にこりとジェイドが笑い

未来は安心できた。

「待たせたな」

その時、どこかに行ってたガイが走ってきた。

「あれ?ガイ…どこに行ってたの?」

「ちょっと、な」

ガイはなぜか嬉しそうで

テオドーロに報告するために

ユリアシティに行くことになり

更に喜んだ。



to be continued

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