■第六話「夢を叶えて」

「こっちだ」

セイを追っている衛兵を

男達が引き留めている間に

マスターセイが未来とセイを

裏口に案内した。

そこを通れば衛兵に見つからずに

外に出れそうだった。

「ありがとう、マスターセイ」

「いいよ。

二人とも、夢を叶えてね」

未来とマスターセイは微笑みあった。


「ねえ、セイって生まれはどこなの?」

洞窟を歩きながら未来はセイに聞いた。

セイはランプを持って未来の少し前を

歩いていた。

「ごめん、昔話は好きじゃないんだ。

俺も君の髪の毛のこととか

お母さんのこととか聞かない方がいいでしょ?」

「…そうね」

未来は仕方がなくうなずいた。

「でも一つ聞きたいな。

どうして光を見たいなら

今まで見に行かなかったの?」

「それは…」

今度は未来が困った時

「セイ!」

衛兵達が追いかけてきた。

「走れ!」

セイが叫んで二人は全力で走った。

未来は髪の毛を抱えて。

洞窟を出ると開けた所に出た。

なにかの工事をしているような場所だ。

「えい!」

未来は髪の毛を適当な柱に結び

ロープのようにして跳んだ。

「意外と使えるな」

セイは未来が残したフライパンで

衛兵を次々と倒していった。

「セイ、掴まって!」

未来は髪の毛をセイの右手に結び

セイも未来の近くまで跳んだ。

「未来!」

「名前呼んでくれたの初めてね」

「とりあえず逃げるぞ」

二人は別の洞窟に入った。

しかし衛兵が水を放ち

洞窟はあっという間に水で満ちてしまう。

「あ…」

どんどん迫りくる水に

未来は怖くて声も出なかった。


to be continued