■第四話「第一歩」

「いいよ、お嬢さん!」

「お嬢さんじゃなくて未来よ」

いよいよ未来が塔の外に出る時がやって来た。

先にセイが塔を降りて

未来は髪の毛をロープ代わりにして

下に降りた。

「ここが外の世界!」

地上に一歩踏み出して未来は感激した。

しかし

「お母様、悲しむかな?」

母ゴーテルに負い目を感じ落ち込んだ。

「未来、取引はなかったことにしよう」

そんな浮き沈みがある未来に

セイはそう言った。

「え?」

「お母さんの事が気になるなら

やめたほうがいいよ」

「でも私はあの光を見に行きたいの!」

未来は一歩も引かなくて

「…わかった。

とりあえずおいしい物を食べに行こうか?

いいお店を知っているんだ」

セイはそう言うしかなかった。


to be continued