■第十二話「お前のセイ」

セイの腕は開発チームがすぐに直してくれて

私達は帰宅した。

「新しいプログラムが出来たら

また連絡するね」

そう言ってマスターセイが

ずっと手を振って見送ってくれたのが

頭から離れない。

マスターセイにも開発チームの人にも

感謝の気持ちが止まらない。

「大変だったね」

私達の部屋に入ると

セイはそう言って部屋の真ん中に座った。

「私はそうでもないけれど、セイが…」

セイの痛そうな顔を思い出して

私はまた泣きそうになった。

「未来…」

そんな私を見てセイは立ち上がって

私を抱きしめてくれた。

「セイ、もうあんな無茶はしないで」

気がついたら私はセイの腕の中で泣いていた。

「ごめん、それは約束できないよ。

俺は自分より未来が大事だから」

でもセイはそう断言した。

それが嬉しくもあったし切なくもあった。

「私がセイのユーザーだから?」

「もうそれだけの関係じゃないだろ?」

セイは急に私に一瞬の口づけをした。

「セイ…」

「俺はお前のセイだ。

コンシェルジュで恋人で…。

お前がいなくなったら俺は悲しいし

生きている意味がないんだ」

「セイ…」

セイの心からの愛を感じて

しばらく私はセイの胸で泣いた。


to be continued