最終話


それから60年が経った。

と言っても妖怪になった

イツキと未来にとっては

あっという間だったが。

「未来!」

未来の部屋に

エンマ大王がやって来た。

「どうしたの?真剣な顔して…」

「今夜、シン達に会いに行くぞ」

「え?」

未来は少し驚いたが

「そっか。

いよいよなんだね!」

エンマ大王の近くでそう言った。

「一緒に来てくれるよな?」

「もちろん!」

すぐに二人は出発した。


「シン!タエ!」

未来は金色の船の上から手を振った。

そして未来とエンマ大王が

橋に降り立つと

「お前なんだな、イツキ」

「未来も変わってないわね」

シンとタエは再会に涙を流した。

シンは病気を抱えていたが

その病気は治るとエンマ大王は言う。

「最後まで投げんな」

「あ!

そのセリフ、久しぶりに聞いたよ」

未来は笑った。

「そうだな。

にしてもシンとタエが

結婚した時は驚いたな」

「二人の結婚式は

こっそり見ていたんだよ」

「そうなのか?」

シンが驚いた。

「二人はまだみたいだけど?」

「え?!」

しかしタエの言葉に

未来は照れてしまう。

「じゃあ、そろそろ行くぞ未来」

「え?もう…」

名残惜しかったがエンマ大王と未来は

金色の船に乗った。

「未来」

「ん?」

不意に名前を呼ばれた未来が

横を向くと

エンマ大王がすぐ近くにいた。

「60年前、イツキの時は言いそびれたが

今日は言うぞ。

お前が好きだ」

「エンマ…」

やっと言えた告白に

未来の胸は熱くなった。

「私もずっとイツキがエンマが

好きだよ」

「ああ!」

エンマ大王は未来を抱きしめた。

夜風から守るように。

「これからもずっとそばにいてくれ」

エンマ大王の口づけは熱くて

ずっとこのままでいたいと

未来は思った。


HAPPY END







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