第二十二話


「シン。

せっかく出会えたのに、ごめんな。

もう時間のようだ」

「お別れの時間だね」

寂しそうに未来は

イツキに寄り添うように立った。

「何を言ってるんだよ。

勝ったんだし

生き返れるんだろう?」

イツキは首を横に振った。

「俺は…俺達は一緒には戻れない。

お別れなんだ、シン」

「そんな!

せっかく友達になったのに

初めての親友なのに

ねえ、未来も嘘だって言ってよ」

「シン…ごめんね」

未来は胸が苦しかった。

「俺さお前の友達として

恥ずかしくない奴になりたいんだ。

エンマ大王になる」

「イツキ…

じゃあそばには私がいないとね!」

「ああ!頼もしいぜ」

イツキと未来は微笑みあった。

「じゃあ俺も妖怪にしてくれ!」

「シン…分かった。

いつかエンマ大王になれたら

その時は迎えに来る」

「それまで…

しばしの別れ、だね」

イツキや未来を包んでいる光が

強くなった。

もう時間なのだろう。

「じゃあな、また会おう」

「元気でね…タエ…シン…」

未来はタエとシンに手を振った。

「離れていても

俺達はずっと友達だよ」

「ああ。

俺達は永遠に友達だ」

「イツキ!行こう」

イツキと未来は人間界から旅立った。

光しか見えない道を

飛びながら進む。

「なぁ…未来…好きだ」

「え?なに?」

イツキの告白は小さすぎて

未来の耳に届かなかった。

「ちゃんと聞いとけよ。

まあ、いいや。

今度だな」

イツキは笑って前を見た。


妖魔界の閻魔大王の屋敷。

「大丈夫ですか?」

「ああ…

あの未来という少女と

ぬらりのおかげでだいぶ楽になった」

閻魔大王とぬらりが部屋に入った。

「不思議な少女でしたね。

ん?あれは!」

ぬらりが気になって妖力で引き寄せたのは

赤子だった。

「あの少年の魂が

紫炎様の魂と一緒に

新しい命として生まれたようです」

そしてその時

近くの侍女も驚くことになる。

「まあ!女の子の赤子だわ」

「かわいい!」

「あとで大王様にも報告しないとね」

未来の生まれ変わりだった。


to be continued







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