第二十五話「風邪」


「未来!急患だ!」

お昼過ぎ。

急に医務室に飛び込んできたのは

ぬらりを抱えたエンマ大王だった。

「エンマ大王!ぬらり!」

エンマ大王に抱えられた

ぬらりの顔は赤く

汗ばんでいて、未来は慌てた。

「さっきからひどい熱なんだ」

「そうですね…

とりあえずここのベッドに…」

未来はベッドに案内しようとしたが

エンマ大王は首を横に振る。

「いや、お前達は家で休め。

ここのところ忙しかったから

疲れているはずなんだ」

「大王様…私は少し休めば…」

ぬらりは声を振り絞ったが

それがかえって未来を不安にさせた。

「ぬらり、それは無理だよ」

二人はエンマ大王の言う通りに

帰宅した。


ぬらりをベッドに寝かせ

未来は冷やしたタオルを持ってきた。

「未来…」

苦しそうにぬらりは未来を呼ぶ。

「ぬらり、気分は?

何か欲しいものとかあれば…」

「いや…」

今度はぬらりは未来の手を握った。

「ぬらり?」

「ここにいてくれ。

風邪の時に妻がそばにいてくれるのは

幸せなのだな」

「ぬらりったら」

二人は笑い、見つめあった。


to be continued







素材はデコヤ様のものを加工しております。