第十二話「家族」


未来とぬらりは仕事を終えて

一緒に夕食の材料を買いに

街を歩いていた。

「お母さん、待ってー」

すると未来の横を

元気な男の子が通り過ぎた。

「お母さん…か」

「どうしたのだ?未来」

ぽつりとつぶやいた未来に

ぬらりは不思議そうだった。

「私のお母さん、元気かな〜

って思っちゃって…」

「そう、か」

ぬらりは突然

未来の手を握った。

「ぬらり?」

「お母さんに会うことは出来なくても

君は一人じゃない。

私が…家族がいるだろう?」

「ありがとう、ぬらり」

未来は嬉しくて瞳が潤んだ。

「それとも新しい家族が欲しいか?」

今度はぬらりがぽつりと言った。

「え?それって…」

「じょ、冗談だ」

ぬらりの言葉に未来は照れて

ぬらりも慌てて否定した。

「もう!ぬらりったら…」

未来が言いかけると

「タイムセールやってるよー!」

そんな声が響いた。

「あ!ぬらり!行かなくちゃ!」

未来は早歩きで

ぬらりの手を引っ張った。

(今はまだ…な)

ぬらりがそう思ったことを

未来は知らない。



to be continued







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