第二十四話「君が初めて」


未来には前から

ぬらりに聞きたいことがあった。

「ねえ。

ぬらりが人間の時の奥さんって

どんな人だった?」

「え?」

二人で茶屋で休んでいる時

未来は勇気を出して聞いた。

「気になるのか?」

「もちろん」

未来はうなずく。

「そうだな…」

ぬらりは少し考えた後

「もう記憶がだいぶ薄れているが

一緒にいて落ち着く存在だった」

「落ち着く存在…」

自分から聞いたのに

未来の胸は痛んだ。

「未来…」

うつむいた未来を

とても優しい声でぬらりは呼んだ。

嬉しくなって未来がぬらりを見ると

ぬらりは微笑んでいた。

「大丈夫だ。

今は君しか考えられない。

誰かのものでも好きになったのは

初めてだ」

「ぬらり…」

二人はしばらく見つめあった。



to be continued







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