第十四話「涙にキス」


「う…」

未来は自室で一人泣いていた。

「未来、いるか?」

そこにぬらりがドア越しに

声をかけた。

「ぬらり…」

泣き顔を見られたくなかったが

恋人を無視するわけにもいかず

未来は扉を開けた。

「ん?泣いていたのか?」

「あ!やっぱりばれちゃった?

でもこれは…」

「お母さんのことを

思い出したのだろう?」

ぬらりにはお見通しだった。

「う、うん…そうなの。

おかしいよね。

お母さんが死んだのは

遠い昔なのに…」

「いや…」

ぬらりはそっと

未来を抱きしめた。

そしてなぐさめるために

未来の頭をなでる。

「ぬらり…」

「泣いていいのだ、未来。

私の前では強がるな」

「うん!」

もう一度未来は涙を流した。

するとぬらりは抱きしめるのを止め

未来の瞳から零れ落ちようとする

涙を飲むようにキスをした。

「ぬらり…恥ずかしいよ」

「誰も見てないから、よいではないか」

未来はもう、涙を流さなかった。




to be continued







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