第十三話「記憶喪失」


「んー!よく寝た〜!

…あれ?」

未来は目覚めると

違和感を感じた。

「ここ、どこだっけ?」

そして不思議そうに

辺りを見渡した。

「とりあえず外に出てみよっかな?」


「よお!未来!

おはよう」

「おはよう、未来」

「え?」

未来が振り返ると

そこにはエンマ大王とぬらりがいた。

しかし

「未来?それって私の名前?」

「は?!」

すっとぼけた質問に

エンマ大王は面喰ってしまう。

「あの…私…

なにも思い出せなくて…。

あなた達、誰なの?」

不思議そうに未来は聞くのだった。

「まさか…記憶喪失か?」

「そう、なのかな?」

ぬらりの推測に未来は

半信半疑だった。

「本当に何も思い出せないのか?

ここにいるぬらりは

お前の恋人なんだぞ?」

「恋人?」

未来はおずおずとぬらりを

見つめた。


翌朝。

「早く目が覚めちゃったな」

そう言いながら未来は

屋敷の廊下を歩いた。

そうしたら何か

思い出せるかもしれないと

思ったのだ。

「今日は早いのだな」

そこにぬらりが歩み寄る。

「あ!ぬらりひょんさん!」

未来はそう呼んだが

よそよそしい呼び方に

ぬらりの心は痛んだ。

「未来」

耐え切れずにぬらりは

未来を強く抱きしめた。

「ぬらりひょんさん…苦しいよ」

「…」

だがぬらりは無言で

未来を抱きしめ続けた。

「未来…

私との思い出も

私と愛し合ったことも

忘れてしまったと言うのか?」

「…ごめんなさい」

未来はあやまることしか

出来ない。

「ではこの言葉は?」

ぬらりは未来を解放し

一呼吸した。

「私は…未来様

貴女を愛してしまいました」

いつかのセリフに

未来はハッと息をのんだ。

そして

「ぬら、り?」

呼び方が元に戻った。

「未来!思い出したか?」

「うん!うん!!

ごめんね、ぬらり」

「いいのだ」

もう一度ぬらりは

未来を抱きしめた。



to be continued







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