知って欲しい



知って欲しい

そう思ってたんだ…

だけど

そんな事言える訳ねぇし、言うつもりも無かったんだ。




『知って欲しい』




「よっ!ム・ノ・ウ・大佐久し振り!!」
「…君は来てそうそうに焼かれたいのかね?」

3ヶ月ぶりに報告書を出しに俺達は汽車に乗り、長い時間を掛けてセントラルまでやってきてやったのだ。

それなのに雨なんかが降り出しやがって…だけどよ、大佐様を無能と、からかえる嬉しさときたらすっげ〜楽しいぜ!

そして今、大佐がいる部屋のドアをノックしずに開けて、大佐に喧嘩を…挨拶をしたのだ。

それにロイ・マスタングは報告書のサインをする手を止め、額に皺を寄せ、ノックもしず入って来た挙句無能扱いをする金の髪と瞳の少年に溜め息混じりに相変わらず生意気だと思いながら言い返す。



それが二人の第一声の挨拶なのだ。




「雨なんてついてねぇよなぁ…ん、報告書。」
「鋼の、君は雨雨言い過ぎじぁないかい?」

エドは高級なソファーに座り中尉が持ってきてくれたタオルで、髪を拭きながら文句をこぼし、大体拭けたところでタオルを肩に掛け、報告書をソファーの前にある机に置いた。

グチグチと雨の事を言うエドに問いながら、椅子から立ち上がりエドの位置から机を挟んで置いてある同じ種類のソファーに腰をかけた。

「気のせいじゃないですか〜。俺はそんなに『雨とか無能』とか言ってませんよ。」

雨と無能を強調して言うと、大佐の眉毛がピクピクと動く。

「鋼の、君にはお仕置が必要の様だね…。」
「はぁ?お仕置なんて…!?」

される筋合いが何処にあるんだよ!と言おうとしたが口には柔らかいものが当たっていて、何が起きたのか分からず、頭をフル回転させて出た答えは(キスされてるんだ。)と言う事。

(ふ〜ん、キスか…キ‥ス…キス!!!??)

案外冷静に流そうとしたエドだったが、キスと言ったら本、いゃ、辞典でしか知らないのだ。

キスだと知って、今さら視界が真っ黒な事に気が付いた。

「ふはぁ…//な、何すんだよ!!///」

10秒ぐらいの触れるだけのキスだったが、混乱していたエドにとっては5分ぐらいの長さだったのだ。
放して貰えた時は肺に空気を入れる為、呼吸をし、整った際に怒鳴った。

「何って君…キスだよ。」

はぁ〜と溜め息を漏らしたロイはエド顎に手を掛け、顎を上に上げ、耳元でロイは告げた。

「な、なななな!!///」

“な”しか言えないエドはボッ!と音がしそうな程、真っ紅に耳まで染めロイから距離を取ろうとするが、ソファーに座っている状況なので、後ずさっても、突き当たる訳で、逃げ道が無い。

「初めてだったのかい?」
「あ、有ったり前だろ!!俺はお前みたいにタラシじゃねぇ!」
「重ね重ね失礼だね君は。だが、初めてと言うのは気分がいい。」
「はぁ?何で気分がいいんだよ!」

意味分かんねぇ!と言う俺にに大佐は一生分の溜め息か?と思う長い溜め息をついていた。
何か変な事でも言ったか?っと考えつついつの間にかうなだれている大佐に声を掛けた。

「お〜い、大佐?」
「あぁ、どうかしたかい?」
「どうかしって、ボ〜と(?)してたからついに頭がおかしくなったのかと思って。」

大佐が退いてくれたのでソファーに座り直した俺は立っている大佐を見つめながらどっかのネジ抜けたんじゃねえ?と心の奥で思っていると

「はぁ〜。鋼のは口癖が相変わらず口が悪いな。少しは直したらどうだ?」
「う゛っ…別に良いだろ。」
痛い所を付かれた俺はプイッとそっぽを向き、呟く様に言った。
大佐は口調の事を言うが、アルにはよく少しは女らしくしたら?っと言われる。だが今さら俺には変える気も無いし、出来ない事だ。

大佐の事を好きだって思ったのも自分で気付いた訳が無い。アルに言われて自覚したぐらい自分で言うのもあれだが鈍いと思う。
それだし大佐には俺が女だって事言ってねぇし…
言ってもきっと何も思わないと…思う。
だから、知って欲しいと思っちまうんだ。

「なぁ、大佐。」
「なんだね?」

スクッと立ち上がった俺は大佐を呼んだ。大佐は明らかに疑問に思いながら俺を見ていた。

「お、俺の事もっと知ってくれよ…ロイ」

バタン!

言い切った俺は顔が熱くなるのを感じ、大佐の顔を見る事が出来ず、ドアを開けて逃げる様に走って仮眠室に駆け込んだ。

「〜〜///」

部屋に入った瞬間その場に崩れ落ちて、うずくまった。
何であんな事言ったんだ!っと後悔しながら次会った時どうすればいいんだ!?と、話し掛けられるまで考えていた。
これから二人の関係がどう変わって行くのは二人次第。





-END-

初ロイエド小説!
つい書いてしまった…エドがロイって言って顔を真っ赤にして逃げる。
やりたかったんだよ!
今回はエド目線だったので、ロイ目線も書く予定です。



2009.9.16 完成



[] []
[戻る]
[top]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -