最後には笑いあって
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賢者の石を使う以外に錬金術を見付けがそれはにはリスクがあるものだった。
だが俺はそれをアルには言わずそれを実行したそれがこの結果。
俺の左目の視力は失われていた。
けれど生きてる事が信じられなくて俺は失われた左目をオートメイルの左手で押える。
「ごめん…な。」
アルは元の身体を取り戻した。
だが俺はアルとの約束を守れなかった。
エドは自分の上着をアルに掛けると謝った。
何度も何度も…謝った。
「…ねぇさん……」
ピクッと動いたアルから出た言葉に自然と苦笑いが漏れる。
そう、俺は実は女。
男を演じていた。
「俺…行くよ。バイバイ。」
アルをベットに下ろしたエドは泣きそうな顔をし、部屋を出た。
片目が使えないだけでこんなに不便だと思わなかった。
方向感覚が掴めず足元がおぼつかない。
「いッ!」
突然左目に激痛が走り、蹲ると左目を押える。
まだ少ししか歩いてないと言うのに息が詰まり自分に苛立つ。
その時、見知った声が
「鋼の?」
と、俺を呼んだ。
それは今、一番会いたくない人、
恋人のロイ・マスタング。
「…ロ、イ」
「顔が真っ青だぞ。一体ッ!」
エドに触れようとしたロイの手は届かなかった。
それはエドが両手を合わせると地面に手を付き壁を錬成したからだ。
「ッ…ゴホゴホッ!」
「鋼の!?鋼の!」
壁を錬成しただけなのにドクンと脈拍が早くなり、噎せる。
口元に当てていた手からは真っ赤な血がポタポタと地面に後を残していく。
これも代価になってたのかとぼんやりした頭で理解すると壁を叩く音と、ロイの声が聞こえて来た。
「ロイ、ごめん。」
「鋼の、何を謝っているんだ?謝らなくて良いからこの壁を元に戻しなさい!」
壁に背を預けポツリと謝るとロイは訳が分からなくドンドンと壁を叩く。
「いつも宿にアルがいるからさ、早く行ってやって。」
「何を言って!」
「俺はもうあんた達の前には現われない。だからサイナラ。」
遠ざかって行く足音にロイはエドの名前を呼ぶ。
それは悲痛な叫びでとても悲しい気持ちにさせられた。
ごめん。と俺は呟くとその場から逃げ出す様に重たい身体を無理矢理動かし、見つかりずらい裏路地へと足を進めた。
錬成された時、破壊してでも追いかけようと私は思っていた。
だが、エドからの別れの言葉に頭が付いていけず、破壊と言う言葉を忘れ壁を叩き、あの子の、エドの名を呼ぶ事しか出来なかった。
部下達が私の元に来た時にはエドは何処かへ消えていた。
「私は…愚かだな。」
エドが居た壁の方に来たロイはそう一人でに呟く。
そこの壁には血で【ありがとう】と書いてあった。
あれからエドを探したが、見つかったのは部屋に寝かされたアルだけだった。
あれからもう4年という月日が過ぎた。
エドか生きているのか、死んだのかも分からなく、鋼の錬金術師は行方不明として大総統に報告をした。
「今日も女性とお食事ですか中将?」
トゲトゲしく言ってくるホークアイにロイはあぁと軽く答える。
エドと付き合い始めて女遊びをしなかったロイはエドが居なくなった寂しさを埋める様に毎日、女を変えている。
「今のを見たらエドワード君がなんて言うかしら。」
確かに今のエドに合えば必ず『浮気者ッ!』叫ばれるだろう。
何度喧嘩して、何度仲直りしたのかももう忘れた。
愛してると言った数さえもう覚えていない。
「あの子にとって私は何だったんだろうな。」
ただの暇つぶしの相手だったのかもしれないと思うと本気だった私がとても虚しい。
そんな自分にフッと笑った時コンコンと軽いノックが部屋に響く。
「…入りたまえ。」
「失礼します。」
懐かしい声に二人は目を見開く。
キーと開くドアから目が放せなく、涙が溢れそうになった。
「…エディ。」
「お久し振りです。」
ふわぁと微笑むエドは軍服を着こなしていた。
久し振りに見るエドの背は伸び、髪は一つに纏められている。
見とれていたロイにリザがお帰り。とエドに言う。
「うん。ただいま。」
そう言い、はにかんで笑うエドをロイは抱き締めた。
それに驚いたエドだが振り払う事もしないでごめん。と謝った。
何も言わなくて、
自分を犠牲にして、
何もかもをごめんに込めた。それを分かってくれたのか、ロイの腕に力が籠る。
少し震えているロイの身体を抱き締め返す。
中尉は気を利かせてくれたのかいつの間にか部屋から居なくなっていた。
「エディ。」
懐かしい名前の呼ばれ方にエドからは苦笑いが漏れる。
ロイからは涙が溢れ、頬を伝いエドの服を濡らす。
それにエドはポンポンとリズム良く子供をあやす様にロイの背中を叩いく。
どっちが子供なんだ?と思うが言葉には出さない。
泣きなら泣けば良い。
そしう言う様にエドは優しく笑ってロイを抱き締め、背中をポンポンと叩き続けた。
「…すまない。」
泣きやんだと思えばそんな言葉がロイから飛んで来て首を傾げる。
何故謝るんだ?と、
「ロイは謝る事無いよ。」
チュッと腫れてる瞼にキスを落とし、エドは苦笑いを漏らし、
「これからはロイが嫌になるほど一緒にいてやるから、また俺を愛してくれる?」
と。不安にながらに聞くとロイはフワッと笑った。
「当たり前だ。君を、エディだけを愛すよ。これからもずっと君だけを。」
こうも恥かしいことを言い並べられるのはロイぐらいだと顔を赤く染めるエディにロイは可愛いと唇に触れるだけのキスを落とした。
それは何年ぶりかのもので二人は顔を見合わせ笑った。
-END-
ザッと書いたつもりがめっちゃ長くなった…
けど泣くロイが書けて満足♪
2010.2.2 完成
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