降れとの願い



降れって願っても降る筈がない。

そう分かっていても願ってしまうものだ。







「さみぃ…」

ブルブルと身震いをするエドは外で空を眺めていた。
だが、寒いのは冬だから当たり前で、しかも今日は一段と冷え込むと言っていた気がする。

「降らねえかなぁ…」

寒さからかオートメイルの付け根が痛む。だが気にする事もなく、エドは身体を丸めて空を見てた。
それは他の人から見れば何をやっているんだろう?と疑問に思う光景。
孤独の少年とも見えるだろう。

「はぁ〜。」

溜め息を漏らすと白い息が出て寒いのをさらに実感したエドはさぶぃとまた言葉を漏らしたその時フワァと暖かいものに包まれた。

「大佐?」
「よく分かったね。」

後ろを振り向かずロイだと言い当てたエドはこんな事するのお前だけだからだ!と言い返した。
軍人に、ロイに抱き締められている俺はどう皆の目に映っているだろう?

「なぁ…ロイ。」

付き合い初めて早くも一年が過ぎようとしている今でも名前を呼ぶのをまだ馴れていないエドはぎこちなく名前を呼ぶ。
その初々しさにロイの顔が緩むのを我慢してどうしたんだい?と冷静を装う。

「……やっぱ何でもねぇ。」

言おうとしたエドだが、横目でロイを見て言う気が失せ、はぁ〜と溜め息を吐く。
何故かって。ロイの顔が親バカみたく緩み、大佐の威厳は(元から無いけど)何処いった!?とまぁこんな感じな訳で溜め息が漏れても仕方が無い。

「エド?」

そんなことも分かっていないアホ大佐は?を頭に浮かべ、エドの名を呼ぶ。だがエドは完全無視で空をまた見上げた。

「空がどうかしたかい?」
「ん?あぁ。今日寒くなるってさ。」
「確かに寒いがそれが…!なるほどエドは雪を待っていた訳か。」

可愛いな。と言い頭を撫でるロイにエドはムスッとして可愛いなんて言われて喜ぶ男はいないとキッパリ言い放った。

「エドは特別だから仕方が無いさ。」
「………詐欺師。」
「失礼な!」

間を開けてエドが言った言葉はロイにクリティカルヒットした。
そんな言い合いをしていれば自然と時間を寒さを忘れていた。

「あ!」

突然叫んだエドは空からパラパラと斑に降ってくる白い雪に目を輝かせた。

「エド、手出してごらん。」
「手?」

疑問に思いながらエドは両手を自分の前に出した。
すると、ロイはポケットからラッピングされている箱をエドの手の上に置いた。それに驚いたエドはロイを見たが開けてごらん。と言うので言う事に従う事にした。

「これ…」

箱の中から出て来た物は手のひらサイズの小さなオルゴールだった。
そしてそのオルゴールは英語で



永遠の愛


と彫られてあった。


「エド、メリークリスマス。」
「メリークリスマス。」

もう他人からどう思われようが、いいと思ってしまった俺はもう重症なのかもしれない。
ロイ不足そんな言葉が出て来そうになり、エドはロイの腕から抜け出して立上がり、ロイの方に振り返った。

「これ、ありがとな。大事にするよ。」

頭をかき、顔を少し赤らめ言うエドは可愛いかったが、可愛いと言うとエドが怒るので言わず、ロイはエドの頭を撫でてどう致しまして。と言った。


ホワイトクリスマス


それは幸運をもたらす日。





ーENDー
戒様リクありがとうございました!
ロイエドは久し振りだったので楽しく書かせて頂きました。
こんなもので良ければ貰ってやって下さい。



2009.12.18 完成
2009.1.3 移動



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