「実はね…あなたたちは、許嫁なのよ」
ある日突然述べられた衝撃の一言
この一言が私の人生を変えた
「え…ちょっ、ちょっと待ってよお母さん!許嫁…?ってどういうこと!?」
「そのままの意味じゃなーい。あなたたちは許嫁同士ってことよ」
「あーん?俺様の許嫁がこんな女だと…?はっ、何の冗談だ」
人をバカにしたように鼻でフン、と笑った跡部景吾に私は怒りの矛先を向けた
「なっ!それはこっちの台詞だし!あんたなんか真っ平ごめんだわ!」
「ほう、お前…誰に向かってそんな口を聞いてるか分かってんのか?」
バチバチと私達の間に火花が散る
「まあまあ、落ち着きなさいな」
今にも噛み付きそうな勢いの私をなだめ、母は跡部景吾に向き直った
「突然で驚かせちゃったかしら?ごめんなさいね。疑ってるのならあなたのご両親に確認してみて…本当だって分かるわ」
なぜだか、どこか懐かしむように跡部景吾に微笑みかける母
「じゃあ、後はお若い二人で!」
そして母はパチンと手を合わせると、止める間もなく父と共に部屋の外へと出ていってしまった
「えっ、ちょっと!お母さん!?」
私が慌てて伸ばした手は、虚しくも空を切った
…どうしよう
急な展開続きに戸惑う私の気持ちを知ってか知らずか、扉が閉まる前に隙間から呑気な母の声が聞こえた
「1回言ってみたかったのよね〜このセリフ!なんだかドラマのワンシーンみたいだわぁ」
Don't be ridiculous!
(そんな馬鹿を言うな!)
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夜風にまたがるニルバーナ
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