『今日の運勢、第1位は〇〇座のあなた!あなたは今日、運命の出会いを果たすでしょう。ラッキーアイテムはー…』


プツッ


私は星座占いを最後まで見ずにテレビを消した

占いなんて何の根拠もないもの、私は信じない

仮に占いが当たったとしても全国の〇〇座の人間が運命の出会いを果たすなんてあり得ないじゃない?


だから私はこの時の占いの結果なんて、特に気にしてなんかいなかったのだ─…



「やっばー!遅刻するっ!」

「あっ、沙織…」


慌てて家を飛び出そうとした私に祖母が声をかけてきた


「ん?なぁに?おばあちゃん」

「今日大事な話があるから早く帰っておいで」


大事な話─?


「うん、分かった!じゃあいってきまーす」


柔らかい笑顔の祖母に見送られ、私は学校へと向かった





キーンコーンカーンコーン


いつものように1日の授業を終え、私は急いで身仕度をした


「あり?沙織もう帰るの?」

「うん、今日おばあちゃんが早く帰ってきてって言ってたから」

「えー今日テニス部着いてきてもらおうと思っ「絶っ対行かない!」…えー何でよぉ!」


友達の口から出た"テニス部"というワードを聞き、私は即答した



なぜなら─…



「…テニス部には、苦手な奴がいるから」


そう

私はテニス部にいけ好かない奴がいる



「え、そうなの?初耳なんだけど!誰々?」

「んー急いでるからその話は今度ね」


友人からのブーイングを背に受けながら私は教室から駆け出した


その時

ドンッ



「あっ!」


勢いよく飛び出したせいで廊下にいた人物とぶつかってしまった


「あーん?どこ見ていやがる」

「…げ」


嘘だ


「人にぶつかっておいて『げ』とは何だぁ?」

「…ごめん、なさい」

「ふん、次からは気を付けることだな」


そう言ってその人物は私を一瞥して去っていった



跡部、景吾


テニス部部長

─私の苦手な奴



「…あっ!早く帰らないと!」


呆然と奴の背中を見つめていた私はハッと我にかえると家路を急いだ







「ただいまぁー!ん?」


ドアを開け、玄関に入るとそこにはいつもより多めの靴が並んでいた


「おかえりなさい」

「お母さん!お父さん!帰ってたの?」


久しぶりに聞く声に顔を上げると、そこには海外にいるはずの両親の姿が


「うん、ついさっきね」

「でもそんなに急にどうしたの?」


嬉しい反面、突然の両親の帰宅に戸惑ってしまう


「実はな、沙織に大事な話があって…」

「あ、おばあちゃんが朝言ってたやつ?」

「そう、今からちょっと出掛けるよ」

「えっ今から!?」

「はい急いで急いで!」

「えっ、ちょっ!」


バタバタと両親に急かされて、私は車に乗り込んだ

車内でいくら聞いても行き先を教えてもらえず、私は不安な気持ちで車が目的地に到着するのを待った


「え、何…ここ」


しばらくして着いたのはどこまで敷地なのか分からないような豪邸

そのまま促されるがまま敷地内へと足を踏み入れる


「ほら、早く入りなさい」

「わっ、ちょ…押さないでっ…あ!」


大きな扉の前で躊躇っていると両親にドンッと背中を押されて部屋の中に上半身から突っ込んでしまった



ドンッ



そのせいで扉の向こう側にいた人物にぶつかってしまった


「…次からは気を付けろって言っただろう、あーん?」

「…げ」


恐る恐る顔をあげるとそこには…跡部景吾の姿が


「あらあら、すいませんね…お待たせしてしまって」


私の後ろから入ってきた両親が跡部景吾に頭を下げる


あ、れ…?どういうこと?


私はいまいち事態が飲み込めずに、跡部景吾の方を窺った

奴も話の流れが分かっていないみたいで眉間にシワを寄せていた


「ごめんなさいね、お時間いただいちゃって…今日はあなたたち二人に大事な話があるのよ」


うふふ、と嬉しそうな笑みを滲ませながら私の母は耳を疑うようなことを口にした




「実はね…あなたたちは、

許嫁なのよ」



「「……は?」」




きゃ、言っちゃった!と父とキャッキャしている母を尻目に、私はフリーズしてしまった




『今日の運勢、第1位は〇〇座のあなた!あなたは今日、運命の出会いを果たすでしょう。ラッキーアイテムはー…』



この時私の頭の中ではどうしてか今朝の占いの言葉がぐるぐると渦巻いていた




Curse my fate.
(自分の運命を呪うよ)


title by...
夜風にまたがるニルバーナ




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