「おい」


跡部と別々に登下校をしはじめて数日したある日の帰宅後、跡部に声をかけられた



あーきたか



「なに?」

「なに?じゃねぇ。お前最近変じゃねーか?帰りも先に帰ったりしてよぉ」


流石に今まで跡部の練習終わりを待って一緒に帰ってたし、いきなり続けて先に帰ってたから変に思ったよね


「んー…今までが変だったんじゃん?」

「あーん?」

「私、部活入ってないしさ…跡部の練習が終わるまで暇だしさぁ」


正直、なんやかんやで跡部を待ってる時間は楽しかった


「それにいちいち一緒に帰る必要なんてそもそも無いんじゃん?確かに家の人の手間にはなるけどさ……ぶっちゃけ毎日毎日、面倒なんだよね」


面倒だなんて思ったことはないけれど


「だからこれからは別々で帰ろうよ」


そう言って跡部の顔を見上げると、何故か奴の表情は歪んでいて


「え…」

「言いたいことはそれだけか」


両肩を強く掴まれた


「いた…っ」


私の肩を掴む手から跡部の気持ちが流れてくるようで、私は跡部の目を見れずに俯いた


「俺様の目を見ろ」


低い声で言われ、思わず肩が震える


「っ…離して」


無理に跡部の腕を振り払い、私は跡部に背を向けた



見れるわけ、ないじゃん



「…そういうことだから」


小さな声でそう言うと、跡部はしばらく無言でいたが舌打ちをして部屋を出ていってしまった




…ごめんね、他に上手い言い訳なんて思い付かなかったんだ




私はもはや鞄から溢れるほどの嫌がらせの手紙に目をやる

周りから分からないようなやり口で執拗な嫌がらせ


上履きも靴箱には入れずに毎日持ち帰って置き勉もやめた

まだそこまでの嫌がらせはなかったが、予防策としてそうしていた


「女の嫉妬ほど怖いもんはないわ」


はぁ、と溜め息をついてその手紙を見えないように荷物の奥に押し込んだ



こんなの跡部に見せれるわけない


跡部を巻き込みたくない



It is my problem
(これは私の問題だ)




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