「くーらーのーすーけー!おっきろー!」
「ぐぉっふぅ!」
朝から腹部に強い衝撃を受け、俺は一気に眠りから覚めた
「蔵が寝坊なんて珍しいなぁ…遅刻すんで?」
「結衣…今日は創立記念日で学校休みや…」
「ほぇ?」
…こうして俺の休日の朝は、この結衣によって妨害されたのだった
「あはは…忘れてた」
お隣さんで幼馴染みである結衣
もはやもう切っても切れない腐れ縁で繋がっている俺たち
「ってゆーか何で勝手に人の部屋入っとるねん」
「えー?だって開いててんもん」
悪びれる様子もなく言ってのける結衣
「…で、いつになったら降りてくれるんや?」
起こしに来た結衣は俺の上にダイブしてきた
そして今もなお俺の上に跨がっている
「ああ、ごめんごめん」
よいしょっと俺の上から降りてベッドに腰掛ける結衣
…いくら幼馴染みとはいえ、無防備すぎへんか?
確かに昔は一緒に寝たり、風呂に入ったりもした
でもそれは昔の話や
今は互いに成長して中学3年
自分で言うのもあれやけど、俺かて心身ともに男らしくなったと思う
結衣かて──
スカートからスラッと伸びた脚、細身ながら女の子らしくほどよく丸みを帯びた身体、胸も膨らんで…
「…なあ、お前」
「んー?」
「今どこにおるか分かってんのか?」
「どこって…蔵の部屋の、ベッドの上?」
「せやなぁ…それにしては、気抜きすぎちゃうか?」
俺ものそりと上体を起こし、キョトンと首を捻った結衣と目を合わせる
「だって…蔵は蔵やろ?」
「ふっ…俺は俺か……でもな、」
「へっ?…きゃっ」
俺はグッと結衣の腕を引き寄せ、ベッドに押し倒した
「俺かて、男なんやで?」
「く、ら?」
俺は男で、お前は女─
そうや、とうの昔から…俺はお前のことを女として意識してた
「お前は俺のこと、ただの幼馴染みとしか思ってへんねんやろうけどな」
自嘲ぎみに笑い、結衣を見つめた
きっと彼女は愕然としている──…
しかし、結衣の反応は俺の予想と反していた
「わ、たし…っ」
顔を真っ赤に染め、潤んだ瞳で見上げてきたのだ
「結衣…?」
「私…ずっと前から蔵のこと、男の子やと思ってたよ…?」
「っ」
「でも…近くにおりすぎて、今の関係壊すのが怖くて…今まで意識しやんようにしてたのに…っ」
ばか…小さな声で呟いた彼女を俺は強く抱き締めた
「…結衣っ、ずっと…ずっと好きやったんや」
「蔵っ、わたし、も…好き」
「ただの幼馴染みやのうて…俺の彼女になってくれへんか?」
腕の中で結衣が小さく、だが確かに頷いた
そっと身体を離そうとすると、結衣は赤く染まった顔を見られるのが恥ずかしいのだろう
俺の胸に顔を埋めて離れようとしない
そんな結衣が可愛くて仕方がなくて─
俺は優しく結衣に口づけた
十数年も一緒にいたのに、キスをするのは初めてで──
何度も何度も、俺は彼女の唇を求めた
────────
幼馴染みな白石(^O^)
白石のお隣に住みたい
毎朝起こされたい起こしに行きたい
2012*04*03***