「なぁ〜聞いてよ白石〜」

「何や?また謙也の話かいな」

「えっ、何で分かったん?ま、まさか…エスパー!?」

「…あほ」




お前が甘えた声で俺んとこ来るときは決まって謙也の話やんか



はぁーと深い溜め息をついて、俺は結衣の方を向き直る


「で、今度はなんや?」

「あんなー!」


俺が話を促すと、結衣は嬉しそうに想い人である謙也の話を始めた





正直、謙也の話なんか聞きたくないんや







─好きな女の口から、他の男の話なんか…聞きたくないんや





せやけどこうして俺に相談してくれることを嬉しく思ってしまって、いつもついつい聞き手に回ってしまう








謙也が、謙也に、謙也の







彼女の口から溢れる他の男の名前



その度に心がざわめく




何で俺やったらあかんねん






─何で謙也やねん







「…なぁ、」

「ん?なに?」


話の途中だったが、俺はつい口を挟んでしまった


「なんで…謙也なんや?」

「え…?」

「なんで他の奴やなくて、謙也なんや?」


結衣は少し眉間にシワを寄せて考え込んだかと思ったら、へらっと気の抜けた笑みを浮かべた


「うーん、なんでやろう…そんなん分からへんわ」

「…は?」

「だって好きなもんは好きなんやもん!理由なんてあらへんよ」


えへへ、と恥ずかしそうに頭をかきながら言い切った結衣


「そっか…せやな」









なんやねん、そんなん─…




敵わへんやんか










「白石も好きな人できたら分かるって」


人の気持ちを知ってか知らずか…いや、知らんねやろうけど…俺の頭をわしわし掻いて結衣が言う


「…あほ」







分かるわ





俺かて本気でお前が好きなんや





─理由なんて、あらへん











「結衣…頑張りや」


ほんまはうまくいって欲しくない


けど、お前の幸せそうな顔が見れるなら─




「うんっ!言われんでも頑張るよっ!白石、いつもありがとう」



ニッコリ微笑んだ結衣の笑顔が眩しくて、俺は目を細めながら小さく微笑み返した




例え結衣が俺を見てなくても、俺はお前が好きなんや



簡単にはこの気持ちは消されへん








いつか、お前の笑顔が…俺だけに向けられる日は来るんやろうか?





なあ…俺、待っててええか?







君を…好きでおって、ええか?















────────
切ない白石(^O^)
切…ない…?←
中途半端な気がしてならない


2012*04*03***



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