白石とお祭り
そうだ、お祭りに行こう!
〜白石の場合〜
『蔵ノ介ー!金魚すくいやろー!』
下駄をカラカラ鳴らしながら金魚すくいの屋台の前に駆けていき、蔵ノ介を呼ぶ
「ん、ええで」
浴衣に身を包んだ蔵ノ介は微笑みながら私の隣に腰を下ろした
「おっちゃん、二人」
屋台のおじさんに金魚すくいの紙を2枚貰う
『どっちが一杯捕れるか勝負しよっか』
私が提案すると
「ええけど…負けた方に何かペナルティつけよや」
蔵ノ介はニヤッと不敵な笑みを浮かべた
『いいよ、何にする?』
「せやなぁ…負けた方が勝った方の言うこと1つ聞くっていうのはどや?」
蔵ノ介の案を私は受けた
『乗った!勝つでー!』
…─そう意気込んだものの
『ご、5匹…』
「12匹や」
結果は蔵ノ介の圧勝だった
「じゃあ約束通り…─言うこと聞いてもらおか」
ガクリと肩を落とす私の腕を引いて、蔵ノ介はスタスタと歩き始めた
『蔵ノ介…?どこ行くん?』
段々とお祭りの音が遠ざかり、私は少し不安になって蔵ノ介に訊ねた
「俺の家やで?」
蔵ノ介は何故かニコッと満面の笑みでそう答えた
何でだろう?と首を傾げながらも私は素直に蔵ノ介に着いていった
『蔵ノ介の部屋久しぶり〜』
蔵ノ介の部屋に入ってキョロキョロ見渡していると
「ほな、ペナルティで1つ言うこと聞いて貰うで?」
そう言った蔵ノ介が私をふわりと抱き締めた
『蔵…─?』
いきなり抱き締められてドキドキと胸が高鳴る
蔵ノ介の胸に身を任せていると、シュルっと布が擦れる音がした
『…ん?』
あれ?と思っていると、蔵ノ介にスルスルと帯がほどかれた
『やっ、ちょっと何…っ』
パサッと帯が落とされ、緩んだ浴衣を慌てて押さえると、その手をそっと握られた
「言うこと聞くんやろ?……──今から、しよ?」
『っ!』
蔵ノ介の熱っぽい視線に見つめられ、カッと体が熱を帯びる
そして何も言えずに黙りこんだ私の唇を蔵ノ介に優しく塞がれ、そのままベッドに押し倒された
『あっ、蔵…─』
浴衣の合わせ目がハラリとはだけ、素肌が晒される
「めっちゃキレイや…今日浴衣姿見たときから、こうしたかった──」
スルリと浴衣の中に蔵ノ介の手が忍んできて、体がピクッと跳ねる
『んっ、…あっ』
ある夏の日のこと──
私は遠くに打ち上げ花火の音を聞きながら、蔵ノ介の与える甘い刺激に溺れた───
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