4/1(金ちゃん誕)



「金ちゃん…別れよう?」


「え─…?」



4月1日、今日はワイの誕生日

大好きな彼女に祝ってもらえるものとばかり思っとった



せやのに切り出されたのは別れ話で




「なっ…なんでや!?ワイ…ワイ何かしたんか!?」


「ううん…金ちゃんは何も悪くないよ…悪いのは、心変わりした私やねん」


「心変わり…?」


「うん…私、他に好きな人が出来てん」



他に、好きな人…?

ワイは言ってる意味が分からずにただ彼女の顔を見つめた



「嫌や!別れとうない!」


「金ちゃん…聞いて…?」


「いーやーやー!聞きとうないー!」



外部からの音を遮断しようと耳を強く塞ぐ




何でなんや?

ワイはこんなに好きやのに


好きで好きでどうにかなりそうやのに



この気持ちはおんなじや無かったんか…?






「金ちゃん…」



ワイが泣きそうになって俯いていると、耳を塞いでいた手を優しく掴まれた


そして、そっと両手を握り締められる



「ごめん、嘘やで?」


「う、そ…?」



彼女の言葉を反芻し、思わず顔をあげると、そこには困ったように笑う君が



「うん、今日はエイプリルフールって言って嘘をついてもいい日やねん…ごめんね?」


「エイプリル、フール?」


「うん、そう…せやから今言ったことは全部嘘や」


「……う…」



良かった、ほんまに良かった
そう思ったら堪えきれなかった涙がポロポロと溢れてきた



「金ちゃん!?」


「うー…嘘でも別れるとか言うなやー…ワイ…ワイ…」


「…ごめん」



すると、ふわりと暖かいものに包まれた

抱き締められているのだと、しばらく分からなかった



「金ちゃん?私は金ちゃんが大好きやから」


「…ワイもメッチャ好きや」


「うん…ありがとう」



小さな声で好きだと言うと、ぎゅうっと抱き締められる力が強くなり、少し離れたかと思うと優しく口付けをされた



「っ!」


「金ちゃん、遅くなったけど…お誕生日おめでとう」


「あ…」



ちゃんと覚えてくれてたんや─



「部室でみんな待ってるから、行こう?」


「…おう!」




その時、ワイはやっと笑うことが出来た





エイプリルフールなんか嫌いや



せやけどお互いの気持ちを確かめ合えたんやし、まあええか






ワイらは手を繋いでテニス部のみんなが待つ部室へと急いだ










───────────
金ちゃんに全力で土下座
ヒドイ嘘ついてごめんね!
エイプリルフール絡めたかったの…
ほんとは白石も出したかったが収集つかなくなりそうだったので(笑)

金ちゃん1日遅れのはぴば!

2012*04*02***


 

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