跡部生誕祭2012



「うーん」



さて、どうしたものか

10月4日、今日は跡部の誕生日



前々からプレゼントはどうしようかと頭を悩ませてはいるものの…





……───跡部って欲しいものあるの!?

何でも自分で手に入れそうじゃん!?





なんて悶々と考えていたら当日になってしまったよどうしよう



しかもプレゼント用意してない後ろめたさから朝起きてから『おめでとう』すら言えてない始末…はぁ…





そして予想はしていたんだけど、

いつものように登校すると正門にズラリと跡部信者が待ち伏せていたり、靴箱からプレゼントが溢れてもはや雪崩と化していたり、休み時間の度に様子を見に行けばいつも跡部は女子たちに囲まれていた



あーあ、あんなにプレゼント貰ってたら私のなんか要らないんじゃん?



黄色い声に囲まれる跡部を見ていると、ズキンと心が小さく軋んだ



「あっ、跡部様…っ!これ、貰ってください!」


「あーん?そんなもんいらねぇよ」



だがよく耳をそばたててみると、ことごとく撃沈している様子だった



「毎年懲りひんなぁ」



ぼんやりとその様子を眺めていると、不意に忍足くんが隣にやってきた



「忍足くん…跡部って毎年あんな感じなの?」


「ん?せやなぁ、毎年全校女子生徒がプレゼント持ってきてはバサバサ切り捨ててるなぁ」



ぜ、全校女子生徒……



「さ、さすがだね…」



私は想像以上の凄まじさに頬をひくつかせながらフラフラと教室を後にした



「まあ、アイツがプレゼント欲しいんは今年は1人だけやろなぁ…っておらんし」















そして時の流れは無情なもので、あっという間に帰宅してしまった


跡部邸に帰ると、玄関にプレゼントの入った段ボールが山積みになっていて、私は肩を落としながら部屋へと戻った



やっぱり…本人に聞いてみようかな…

今日渡せなくても跡部の欲しいものをあげたいし…



「あの、跡部…」


「おい」



恐る恐る絞り出した声は跡部の私を呼ぶ声にかき消されてしまった



「…なに?」



ベッドに腰掛け、こちらを見ない跡部に聞き返すと、



「いいからこっちに来やがれ」



跡部は肩越しにチラッと視線を投げ掛けて側に来るように言った





な、なんか怒ってる…?





内心びくびくしながらチョコンと跡部の隣に腰かけると、跡部は不機嫌そうな顔を私に向けたが目を合わすことが出来ずに私は俯いた



「今日は何の日か知ってるか」


「え、と…跡部の誕生日」


「で、お前からは何もなしか」



ベッドについていた手をそっと跡部に握られ、ハッと跡部を見ると…



怒ったような、拗ねたような跡部の表情に私の胸はきゅうっと締め付けられた



「…ごめんね?本当はプレゼント用意したかったんだけど…跡部って何でも持ってるから何あげていいか分かんなくて…」



私は正直に心の内を打ち明けた





すると跡部はふっと優しく微笑んで、私の頭をクシャッと撫でた



「お前から貰えるもんなら…何だって嬉しいに決まってんだろうが、あーん?」


「跡部…」





そっか…そうだよね、大事なのはプレゼントの中身よりもあげる側の気持ちなんだ





「…ということは、今年はお前からのプレゼントは無しということか」



改めて残念そうに言われて私の胸は罪悪感で満たされる



「う…ごめん……いっ、今から出来ることがあれば何でもするよ!」



慌ててそう言うと、跡部はニヤリと不敵に微笑んだ



「何でも、だな?」



うぐ…しまった…何をやらされるんだ…っ



咄嗟に言ってしまったことを後悔しながらも跡部の言葉を待つと、跡部はゆっくりと口を開いた





「キスしろ」



「……………へ?」



一瞬頭が真っ白になって間抜けな声を出してしまった



「だから、お前からキスしろって言ってんだよ」



グッと腕を掴まれて体を跡部の方に向かされる





私からキ、キスとか…確かにしたことあんまりない気がする…





私は顔を真っ赤に染めながらも、意を決して跡部を見つめた



「えっと…目、閉じて?」



そう言うと、跡部は素直に目を閉じた



そっと跡部の肩に手を置くと、跡部に顔を寄せて、触れるだけのキスをした



私はすぐに唇を離して自分の顔を覆った





恥ずかしすぎて発火しそうだよぉー…





跡部の方を見れずに自分の膝を見ていると、グイッと腰を引き寄せられた



「ひゃっ!?」


「…物足りねえ」


「…はい?」





な、何を言っているの…?





至近距離と跡部の言葉に狼狽えていると、後頭部を押さえられて、あっと思った時には跡部に唇を塞がれていた



何度も角度を変えて口付けられ、僅かに生じた隙間からするりと舌を捩じ込まれて口内を探るように犯される



「んっ、ふぅ…」



きゅっと跡部の服の裾を掴んで必死で跡部の動きに応える









「はぁっ…」



長い長いキスから解放されて肩で息を整えていると、ふわっと跡部に抱き締められた



「…俺様は、プレゼントがなくとも…お前がいればそれだけでいい」


「あ、とべ…」



おずおずと跡部の背中に手を回すと、グッと体重をかけられてベッドに押し倒された



「お前が、欲しい」



耳に唇を押し当てられて掠れた声で囁かれ、私は体の力が抜けるのを感じた












「跡部…誕生日おめでとう」





身体中で跡部の熱を感じながら私はようやく跡部に『おめでとう』と言うことができた───












─────────
跡部様はぴばー(*´∀`)ノ
というわけで跡部連載から出張〜!
本編より少し先のお話ですね←いいのかよ
本編でも早くここまでイチャコラさせたいものです←早く書け

というわけで跡部様おめでとう!


 

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