07


キーンコーンカーンコーン


「きりーつ、れーい」

「「さようならー」」



帰りのHRが終わり、私は急いで帰り支度をした


財前くんが帰る前に話がしたかったから




お昼に謙也さんとご飯を食べているところを見られてしまった


財前くんはそんなこと全く気にしてへんかもしれへん


私のことなんて、全く気にしてへんかもしれへん



せやけど



私は財前くんに誤解なんてされたくない


財前くん以外の人と誤解されたくないんや





「財前くんっ!ちょっとええかな?」


財前くんが教室を出たのを見計らい、私は彼に声をかけた


「ん…?なんや、山本。何か用?」

「うん…あ、財前くん部活やんな?歩きながらでええよ」


教室の前で話すのもなんか…あれやし


「あー…じゃあ行こか」



私は財前くんと並んで廊下を歩いた


「あんな…お昼のことやけど」

「昼?…あぁ、謙也さんとおったな、そういえば」


私が切り出すと、財前くんは少し考えて思い出したように言った


「謙也さんと知り合いなん?」

「……うん…やきそばパン…」

「は?やきそばパン…?」

「購買で、人の波に入れんくて困ってたら謙也さんがやきそばパン取ってきてくれてん」

「ふーん」

「そんでそのまま一緒に食べることになっただけでっ…別に何でもないねん!」



私は言いたかったことを一気に捲し立てるように言った



「何でもないって…別にそういう風に思ってへんけど」

「あ…そっか…なんか、誤解されてたら嫌やなって…」



そっか、誤解されてなかったんや

よかった…



「ふっ」



私がほっと胸を撫で下ろしていると、頭上から小さな笑い声が聞こえた


「えっ、なっ何?」

「いや…こないだ先輩に誤解された時と似てるなって思って」

「あ…」



そういえば似てるかも…

財前くんと二人でいるところを麻由先輩に見られて、誤解されたんやった


それで、財前くんが誤解を解きに先輩を追いかけて─…




「…あの時……ちゃんと誤解は、解けた?」

「あー…まあ、一応」



ふいと横を向いた財前くんの耳は心なしかほんのり色付いていた



「そっ…か、よかったね!」

「…山本に言われて、ちゃんと話してよかったわ。お前のこともただの友達やって言っといたから大丈夫やで」





ただの"友達"



ずきん



分かっていたけれど、

実際に彼の口から聞くとひどく心が痛んだ





「ん…」

「山本も俺とそういう仲やって誤解されたら嫌やろうしな」

「そっ、そんなことない!」


財前くんの言葉に思わず大きな声を出してしまった


あ、と思い慌てて財前くんの方を見ると、驚いたように目を見開いていた



「えっと…その…何でもないよ!気にしやんといて!」


あはは、と笑って誤魔化すと財前くんは


「なんや、変な山本」


と首をかしげただけでそれ以上は追及してこなかった


「あは…あはは」




そうこうしている間にテニス部の部室が見えてきた


「ほな、行ってくるわ」

「うん、頑張って…」


財前くんが見えなくなると、私は密かに肩を落とした



あなたの友達以上には
どうしたらなれますか?



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