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俺は山本が好きや



いつからやろうか、君に惹かれ始めたんは



もしかしたら、初めて会った時から気になっていたんかもしれへん


一人で静かに泣くお前を見た時、守りたいって思ったんや





最初はただ放っとかれへん奴やな、と思ってた


せやけど、無邪気に笑うお前とおったら…なんか心が暖かくなるんや






山本が財前を見てるんには嫌でも気付いた



確信した時にはなぜか心が痛んだ

鉛のように重くなった





この時からやろうか、自分の気持ちを自覚し始めたんは



やけど、他の男を想っとる奴を好きになっても辛いだけや








俺はわざと自分の気持ちに嘘をついた





ただ、放っとかれへんだけ

ただそれだけや








でもお前はいつも俺の気持ちをかき乱した


財前の家に行くって言うたお前を引き留めたり、考えるより先に身体が動いた






俺の中でだんだんとお前の存在がでかくなっていく



それはもう認めざるを得ないことで


一緒におらんときでもお前のことを考えるようになった






ちょうどそんな時、廊下でお前とぶつかってもうた


とっさに抱き止めたら至近距離にお前の顔があって頭の中が真っ白になった



慌てて身体を離して少し話をした


お前は笑ってはおったけど、どこか元気がないようやった


聞くと山本も考え事をしていたようで



気付いたら俺は放課後に話を聞くと言うてた





そして内心緊張しながら二人でファミレスに入った


早速俺は聞きたく無かったけど聞かなあかんことを聞いた





『財前が好きなんか?』





山本の答えは思った通りイエスで

そこから彼女の今までの出来事を聞いた


その話から山本がどんなに財前を想っているのかが嫌ってほど伝わってきた





笑顔を繕おうとしていたが、声は微かに震えていて、俺はそっと彼女の頭を撫でた


すると一瞬泣きそうに顔を歪めたがすぐに堪えるように俯いた






無理に押しきって山本を家まで送っていく


家に入ろうとした山本を引き留め、再び頭をぽんぽんと撫でると山本の目から涙が溢れた





泣きそうな顔をしてるくせに無理に笑う山本を見て、もう我慢できんかった


俺の前では無理すんな


俺の前では思いっきり泣けばええ






気付いたら山本を抱き締めていた





彼女は最初は驚いて腕の中で身動ぎをしたが、強く抱き締めるとしだいに身体の力を抜いて身を任せてきた


そして山本は財前への想いを溢れさせながら俺の腕の中で泣きじゃくった








俺やったらお前を泣かせへん


財前なんかより俺にしとけよ





この時、俺は

自分の気持ちを
偽るのをやめた




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