「ん…ふぁ」
「…ん、っ」
部活終わり、私と蔵ノ介は私の家の近所にある公園で、長い長いキスをしていた
「はっ…」
名残惜しそうに唇が離れたかと思うと、蔵ノ介は私をキツく抱き寄せた
「蔵…もう帰らないと」
言葉とは裏腹に、私は蔵ノ介の背中に腕を回した
「せやな…もう暗くなってきたしな」
「ん…」
帰りたくない、離れたくない─
密着した身体からお互いの気持ちが伝わってくる
「あー、もう…!」
「きゃっ!?」
そっと身体を離そうとしたら、逃すまいと再び強く抱き締められた
「帰したくないわ…」
「…っ、蔵…」
耳元で掠れた声で囁かれ、ぴくっと身体が震える
「なあ……今度の日曜日、家に誰もおらんねんけど…遊びに来やへんか?」
「っ!い、行きたいっ」
嬉しい誘いに私は即答した
「ほんまか?約束やで」
すると蔵ノ介は無邪気な笑みを浮かべた
「うんっ」
そうして私たちは日曜日を心待ちにして互いの家へ帰った
待ちに待った日曜日、私は蔵ノ介の家にお邪魔した
彼の部屋で談笑したり、レンタルしてきたDVDを見たりして楽しく過ごしていた
…─そして、いつの間にか甘い雰囲気に包まれた私たちは、何度も何度も甘くてしびれるようなキスに夢中になっていた
「んっ、ふ…ぁ」
「っ、はっ…」
吐息を奪い尽くすかのように求められ、私は夢中で蔵ノ介にしがみついた
ようやく唇が離れ、私は酸素を求めて大きく肩を上下させた
「悪い…夢中になってもうた」
呼吸を乱しながら申し訳なさそうに言う蔵ノ介
「ううん、嬉しい…時間を気にしやんと、蔵と…一緒におれて」
私が微笑んむと、蔵ノ介は今度は触れるだけのキスを落とした
唇、鼻、頬、耳、そして首、鎖骨へと軽いキスを落とす蔵ノ介
「んっ…ぁっ」
キスに気をとられていると、いつの間にか蔵ノ介の手が服の裾から侵入してきていて、下着の上から胸を触られた
「あっ、蔵…っ」
私たちはまだキスの先を知らない
なので私は慌てて蔵ノ介の名前を呼んだ
「…アカンのか?」
すると私の胸元から蔵ノ介が甘えるように見上げてきた
「アカンわけじゃないけど…ちょっとビックリして…」
「せやんな…じゃあ、触っても…ええか?」
私がそう言うと、今度は確認を取ってきた蔵ノ介
「ぅ…い、いよ…」
いちいち聞かんといてよぉ…っ
私は一気に顔に熱が集まってしまった
「わっ…!」
火照った顔を押さえていると、ふいに身体が宙に浮いた
蔵ノ介にお姫様抱っこされていると気付いた時には、優しくベッドに降ろされた
ギシッ
そのまま私に蔵ノ介が覆い被さってきた
「茜…」
囁くように名前を呼ばれ、彼の手が私の身体のラインをなぞる
耳元に熱い吐息を感じ、心臓がうるさく鳴る
「蔵ノ介…っ」
彼の手が背中に回り、ホックを外そうとしたまさにその時──
「ただいまー!」
「「!?」」
階下から賑やかな声が聞こえてきた
「かっ、帰ってきた!?」
「嘘やろ!?」
私たちは慌てて身体を離してベッドから飛び降り、乱れた着衣を整えた
「…夜まで帰らんって言うてたやないか」
落ち着いたあと、蔵ノ介が片手で額を押さえながら呟いた
「蔵…」
そんな彼が可愛くて、ぎゅっと彼に抱きついた
「今度…続きしようね?」
「っ、茜…」
08.寸止め
今日は残念やったけど、焦らんと私たちのペースで進んでいこう?
そう耳元で言うと、蔵ノ介は私の言葉に応えるように抱き締め返してくれた
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