それは甘い20題 | ナノ







「茜、おはよーさん」


どきん


「お、はよ」


いつものように爽やかな笑顔で挨拶をする白石
だが私はついフイッと白石から顔をそらせてしまう


あ、あかん、なんやドキドキして白石の顔見られへん


白石と付き合いはじめて1週間が経つものの、想いが通じる前より彼を意識してしまいついついそんな態度をとってしまう


「なんや?」

「べ、別になんもない」


白石の方を見ずにぶっきらぼうにそう言うと、白石はふぅ、と軽く息をつき私の頭をくしゃくしゃっと掻き回した


「なっ、何するんっ!?」


顔を真っ赤にして私がキッと白石を睨み付けると


「お、やっとこっち向いたな」


そこには優しい眼差しで私を見つめる白石が


「…え?」

「茜、なかなか俺の方見てくれへんから…」

「ご、ごめん…」

「なんや言いたいことあるんやったら何でも言いや?」



…あぁ……私は白石のこういうところに惹かれたんや



「ちゃうねん…白石と一緒におったら…ドキドキして顔見られへんくなるねん…」

「…っ!」


白石の目を真っ直ぐに見つめ、正直に白状すると白石は一瞬ポカンとした顔をし、少し頬を赤らめた


「……なんやそれ」


包帯を巻いた手で軽く顔を隠すようにして白石は目をそらす


「そんなん…俺もに決まってるやんか」

「へ?」

「なんやその間の抜けた声は」

「だって…白石いつも余裕やから…」

「余裕なんか、あらへんわ」

「っ!」


あっと思った時には白石の腕の中で、


「…めっちゃドキドキしてるやろ…?」


くっついた体からトクントクンと白石の速い鼓動の音が伝わってくる


「…ほんまや」


何だか嬉しくなって白石を見上げると愛しそうに見つめる瞳と目が合う


「白石…めっちゃ好き」

「俺もめっちゃ好きや」



互いの鼓動を感じながら私たちは微笑みあった──






01.鼓動


「なあ…盛り上がってるとこ悪いねんけど…ここ、教室やで?」

「「あ」」









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