それは甘い20題 | ナノ








茜と一緒におれるだけで、茜が微笑みかけてくれるだけで俺は幸せなんや



やけど



もっと俺を求めて欲しい、もっと俺に色んな茜を見せて欲しい


そんな気持ちがどんどん溢れてくる


茜とおったら理性がぶっとんでしまいそうで怖いんや




せやのに…



「なんでそんな格好してんねん…」

「え?何か言った?」

「…なんでもあらへん」



今日はテストも近付いてきていることもあり、俺の家で勉強会をすることになっていた


チャイムが鳴り、ドアを開けるとそこには茜の姿が


とりあえず部屋に案内したものの…



茜はショートパンツにTシャツという大変にラフな格好で


「今日めっちゃ暑いよなぁ」


なんてヘラヘラと笑っている



短いズボンから伸びる白くて細い足

袖から覗く柔らかそうな腕



…露出度高すぎやろ



俺は理性を保つべく腰掛けた茜の向かい側に座った


「あれ?いつもは隣でするのに今日はどうしたん?」


キョトンと首を傾げる茜に

密着したら理性ぶっとぶわ!

なんてことは言えるはずもなく


「ま、まあええやん?暑いって言うてたし離れてた方がええやろ」


と苦し紛れの言い訳をする


「まあそうやけど…」


どこか腑に落ちなさそうな茜だったが、まぁいっかと鞄から教材を取り出した







しばらく互いに黙々と問題に取り組んだ


問題に集中してる間はええな


茜のことを考えんですむ



「んあー!分からへんー!」


すると化学と苦闘していた茜が根をあげて伸びをしたあと机に突っ伏した


「っ!」


机に胸が押し付けられ、俺の位置からは胸の谷間が見える形となってしまい俺は慌てて顔を反らした


「蔵ぁ…?」

「な、なんや?」


声をかけられ茜の方に目をやると、茜はそのままの体勢で俺を上目遣いで見上げてきた



アカンって…



「化学教えてー?」


甘えたような声で教えを請う茜


「ど、どこや?」

「ん、これやねんけど…」


俺は小さく深呼吸をしたのち、身を乗り出して茜に説明を始めた


「…で、こうなるんやけどーって聞いてるんか?」


逆さま側から教えるのはなかなか難しかったが何とか解き終え、茜の方を見るが当の本人は何故かぶすっと下を向いていた


「茜ー?」


茜の顔を覗き込むと、ちろっと目だけで俺の方を見る


「……なんで隣来てくれへんの?」

「…え?」


拗ねたように頬を膨らませる茜に俺は固まってしまう



アカンって、ほんまに…



「もっと…蔵ノ介とくっつきたいのに…」


そして小さく呟かれた茜の言葉に俺は弾かれたように机越しに茜の顎を掴み、口付けた


「んぅ…っ」

「はっ…」


少し乱暴に唇を求めるも、茜も応えるように舌を絡ませてきた


「はぁ…我慢してたのに…」


唇を離し、俺は軽く額を押さえた


「我慢…?」


息を整えながら茜が俺の言葉を繰り返す


「せや…茜に触れたくてキスしたくて…それ以上を、求めてまいそうで…抑えんのでいっぱいいっぱいやわ」

「蔵…」

「せやのにそんな露出度の高い格好してくるし、くっつきたいとか言うし…もうそろそろ俺の理性も限界や…」


…カッコ悪いなぁ

こんな余裕のないところ見せて


はっ、と自嘲気味に笑うと茜は静かに立ち上がり、俺にぴったりくっつくように隣に腰掛けた


「っちょ、話聞いてたんかっ!?抑えんられへんくなるから…」

「抑えんでええよ…?」

「な…っ」


顔をほんのり赤くさせて潤んだ瞳で見上げてくる茜


「私だって…蔵ノ介とキス以上のこと、したいもん」

「っ…ええんか?」

「…うん」

「俺、優しくできるか分からんで…?」

「うん…いいよ?…蔵のことしか考えられへんようにして…?」

「茜…っ」



俺は茜を抱き寄せ、再び求めるように唇を重ねた



12.奪いたい



お前の、心も

身体も───







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