触れた理由はそれだけ

そういえばブンちゃんと駅前のファミレス行くの久しぶりかも



今週の土曜日にブンちゃんとパフェを食べに行くことが決まってから、私は一人でいるとついついそのことばかりを考えてしまう


「なーにボーッとしてんだ、よっ!」

「ふぐぉ!」


朝の教室でにやける頬を両手で引き締めていると、いきなり後ろから誰かに首をがっちりホールドされた



苦しい!苦しい!っていうか誰…!?



首に回された腕を掴みながらやっとのことで振り向くと、そこには至近距離で楽しそうに笑うブンちゃんの顔が


「おっはよー」



おっはよー、じゃねぇよ!


腕に込められた力と対照的に爽やかな笑顔を向けてくるブンちゃん




ちっ、近すぎる…!




相手がブンちゃんだと自覚した途端、背中から伝わる彼の熱を感じて一気に体が熱くなった


「は、離して…!」


必死に逃れようとするもジタバタもがく私の様子が可笑しいのかクックッと笑ってなかなか離す気配がない




ちょっと、ほんとに勘弁して…!




ブンちゃんの温もりにだんだんと頭がグラグラ回って限界に達した私は思わず…


「ふんっ!」

「ぐおっ」


ブンちゃんのみぞおちにエルボーをかましてしまった


「いってー、マジであり得ねえ!」


お腹を押さえるブンちゃんに私は咳き込みながら言う


「こっちのセリフだし!ちょっとは加減しなさいよ!」


マジで女に対する力加減じゃないから!


「なんだよ、赤也だったらこれぐらいじゃ何ともないぜ?」


キョトンとした顔をするブンちゃん




こいつ、正気か




「男の子と同じ扱いすんなー!」

「悪い悪い、柚希相手だとつい」


頭を掻きながらそんなことをぬかすブンちゃん





…こういう時に、女扱いされていないことを痛感する



不意に過剰なスキンシップをしてくるブンちゃんは、本当に私に気を許しているのだろう





でもそれは、友達としてであって…


───決して異性としては見なされない





私はそれが分かっているからこそ…いつの間にか生まれたていた自分のかけがえのない気持ちに…──蓋をするのだ






今やこんなに仲良しな私たちだけど、それは最初からそうだった訳ではなかった



むしろ、出会った当時の印象は…──



最悪だった


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