気持ちが通じて変わったことと分かったことが1つずつ
変わったこととは、ベッドに入るときの私と跡部の距離が以前より縮まったということ
そして、分かったことは───
「沙織」
ベッドに腰掛けて携帯を弄っていると、いつの間にか跡部が前に立っていて
「ん?…っ」
顔をあげると跡部は私の肩に手を置いて、ちゅっと軽くキスをした
私が顔を赤くして口をパクパクさせるも、奴は満足げに自分の席についてパソコンを立ち上げだした
し、心臓に悪いってばよ…
ぱたぱたと火照った顔を冷ます私を尻目に、跡部は軽快にキーボードを叩いている
分かったこと、それは───
跡部がキス魔だということ
ほんと不意をつくように唇を奪われる
その度にドキドキして…
あー…跡部に翻弄されすぎだな、私
私はコテッとベッドに転がり高い天井を仰いだ
しばらくして、跡部もベッドにやってきて端に腰掛けた
私はむくりと体を起こして跡部の隣まで移動した
「どうかしたか?」
跡部にぴっとりくっつくように座ると、跡部は私の肩に腕を回して後ろから頭をポンポンと撫でてくれる
跡部にそうされると幸せな気持ちになる
私はまどろみながらも、ちょっとしたイタズラ心で聞いてみた
「跡部ってさ…キス魔だよね?」
そう言って下から覗きこむように見上げると、跡部は一瞬たじろぎ、その頬が仄かに赤く染まった
そして赤くなった顔を手で隠すようにして小さく舌打ちをしてから口を開いた
「お前といたら…したくなるんだよ」
「え…?」
呻くように発せられた言葉に私の体も熱を帯びる
「ってゆーか…お前は嫌なのかよ」
少し不貞腐れたように言う跡部に胸がきゅうっと締め付けられる
「…嫌なわけないじゃん、私だって…跡部といっぱいキスしたいもん」
恥ずかしい気持ちもあったが正直そう言って頬にちゅっと軽くキスをすれば、跡部の顔は真っ赤に染まってしまいまた愛しさが募った
「…だから、いっぱい…してね?」
跡部の服の袖をきゅっと引いて跡部の顔を見上げれば、跡部は少し熱を帯びた瞳を揺らした
「…ばーか、言われなくても嫌ってほどしてやるよ」
そして静かに跡部の顔が近づいて…─
私はそっと瞳を閉じた
いつもの啄むようなキスよりも少し長めのキス
唇を通して跡部の気持ちが伝わってくるみたいで…
私たちは唇が離れても何回も何回も触れるだけのキスを繰り返した
まどろむ場所はここがいい
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