おんぶ(金ちゃん)
「あちゃー」

かくかくじかじかで足を挫いたらしい(え、急な展開やなって?気にしちゃだめよ☆)

「なまえやんかー!なにしてんのー?」

「あ、金ちゃん!うーん、ちょっと足挫いたみたいやわ」

「えぇー!?大丈夫かいな!歩けるかー?」

「ちょっとキツいかも…」

「よっしゃ!ワイが保健室まで連れてったるわ!」

すると金ちゃんは私の前で屈み、ほれ、と背を向けてきた

「え、なに?」

私が何してんのこの子、と首を傾げていると

「おんぶに決まってるやろ!ほい、早よおぶさって」

急かすように後ろ手をバタバタさせた

「えぇっ!いいって!私、金ちゃんよりデカイし重いで?」

「そんなん関係ないわ!早よ冷やさな治るもんも治らんで!いいから乗りーや」

しびれを切らしたようにグイッと私を引っ張り無理矢理おんぶする金ちゃん

「わわっ…金ちゃん力持ちやな…」

「男やからなーなまえなんか軽いもんやで!」

「…」

私は金ちゃんの肩に手を置き、素直におぶられていた
1つ、気を付けながら

「…なぁなまえー?」

「なぁに?」

「…何でそんな離れてるんや?」

「…え、き、気のせいちゃう?」

「気のせいちゃうわ!何や腕突っ張って、全然おぶってる感じしやんやないか…」

そう、私は極力金ちゃんから離れるようにしておぶさっていた
…密着してしまわないように

「怪我人はもっと力抜いてワイに身ぃまかせー?」

「そ…それはちょっと…」

私が渋っていると金ちゃんは突然走り出した

「きゃぁあ!金ちゃんん!?お、落ちるって…!」

私は落ちてしまわないように金ちゃんにしがみついた

すると途端に金ちゃんのスピードが落ちた

「?」

「そうそう、それでええんや!そのままぎゅってしときやー」

あぁ!やられた!

「なまえ暖かいわー」

私がくっついた途端にご機嫌になった金ちゃんは鼻歌なんか歌いながら保健室へ向かう

…しょうがない…このままでいいか


「ほい!到着や!」

「あ、ありがと」

保健室に着くと金ちゃんはしゃがんで私が降りやすくしてくれた

「それにしても何で最初あんなに嫌がってたんや?ワイなんか傷つくわ…」

私が降りるとくるっと振り返ってウルウルと目を潤ませながら見上げてきた

ぐ…か、かわいい…

「そ、それは…」

「それは?」

「…なんでもない」

私はそう言ってパッと保健室に逃げた

「えぇー!?なんでもないことないやろー!?」

なまえーと保健室の前で不満そうな声をあげている金ちゃん


なんでって…

くっついた背中から、ドキドキが伝わらないように

…なんて恥ずかしくて言われへんわ



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