WD〜金ちゃんの場合(金ちゃん)
3/14 ホワイトデー

「うーむ…」


私はバレンタインに金ちゃんからチョコレートを貰った


「…ってことはホワイトデーは私が返すってことでいいんやんな…?」


金ちゃんに想いを告げられ、自分の気持ちを自覚した

それから一応お付き合いを始めたのだが、金ちゃんは以前となんら変わらない


「まあいきなり金ちゃんに男になられてもビックリするけど…」

「あー!なまえー!」


金ちゃんへのプレゼントをぶらぶらさせていると当の本人が現れた


「あ、金ちゃん!ちょうどよかった」

「ん?なんや?」


たたたっと嬉しそうにこちらに駆けてきた金ちゃんの頭をヨシヨシと撫でてあげると、気持ち良さそうに金ちゃんは目を細めた


「あのね、金ちゃんに渡したいものがあるねん」


私がそう言うと、金ちゃんはパッと顔を輝かせた


「なんやっ?うまいもんかっ?!」

「ふふっ、金ちゃんの口に合うといいねんけど…」


はい、と金ちゃんにキレイにラッピングした包みを手渡す


「おおきに!開けてええか?」


キラキラと目を輝かせながら金ちゃんが尋ねるので、私は笑顔で肯定した


「んー?おー!めっちゃうまそうやん!」


今日のためにたくさん練習を重ねて作ったブラウニー

金ちゃんは食いしん坊なのでたくさん焼いてきた


「気に入ってもらえた?」

「もちろんや!…でも、いきなりどうしたんや?」


突然のプレゼントに喜びながらもキョトンと首をかしげる金ちゃん



…この子、ホワイトデーのこと知らへんのかな?



「えっとね…今日はホワイトデーって言って、バレンタインのお返しをする日やねんで?」

「おー!そうなんか!知らんかったわぁ」

「ほら、食べてみて!金ちゃんへの気持ちいっぱい込めて作ってんで?」


そう言うと金ちゃんは大きく目を見開いた


「ワイへの、気持ち?」


確かめるように聞き返してくる金ちゃん


うーん…聞き直されると照れるねんけど…


今日はホワイトデーやし普段言われへんことも言える気がする


「うん…金ちゃんのこと大好きって気持ちやで」


少し恥ずかしかったけど、はっきりと気持ちを伝えるとぎゅっと金ちゃんが抱きついてきた


「き、金ちゃん?」

「……ワイもや」

「え?」

「ワイもなまえのこと大好きや!」


抱き締める力を強め、半ば叫ぶように金ちゃんが言った


「金ちゃん…」


私は心がポカポカと暖かくなるような気持ちになり、きゅっと金ちゃんを抱き締め返した



「なあ、なまえ?」

「ん?なぁに?」

「キス、してもええか?」

「へっ!?」


キ、キキキキキスっ!?



金ちゃんの口からそんな言葉が発せられるなんて微塵にも思っていなかった私は驚きの余り間抜けな声を出してしまった


「嫌なんか?」


ウルウルと瞳を潤ませて見上げられると、もう戸惑いなんてふっとんでしまう



「い、いよ?」



私が頷いたと同時に金ちゃんの顔が近づいてきて─


あっ、と思った時には唇に柔らかな感触がした



「んっ…」


そっと目を閉じ、金ちゃんの唇の暖かさを感じる


始めは重なるだけのキスだったが、徐々に金ちゃんの唇の動きが激しさを増してきた



んんん??



後頭部を押さえつけられ、さらに激しく口付けられる


「ん…ふぁ」


普段の金ちゃんからは想像もできない動きに頭がついていけずにいると、にゅるっと口内に生暖かいものが侵入してきた


「っ!?」


それが金ちゃんの舌だと認識するまでしばらく私は固まってしまった

慌てて金ちゃんの胸を押すと、名残惜しそうに金ちゃんの唇が離れた


「なんやー?」

「き、金ちゃ…なっ、何を…」


私が口をおさえ、真っ赤になって金ちゃんに抗議すると、金ちゃんは不満そうに唇を尖らせた


「好きな人どうしがキスするのは当たり前やろ?白石が言ってたで?」

「そ、そやけど…っ!し、舌っ…」

「ん?舌…?キスって舌入れるんのとちゃうん?」

「そ、それ誰から聞いて…

まさかまた…白石?」

「せやで?」



あんのエクスタバカぁぁぁぁぁあ!!!

金ちゃんになんてことを…!



口をパクパクしていると、金ちゃんは私があげたブラウニーを取りだし、ぱくっと大きな口を開けて頬張った


「ん!めっちゃうまいわ!なまえありがとうなぁ!」


ニカッと満面の笑みを浮かべる金ちゃん



…まあ、いっか

幸せそうな金ちゃんを見ていると何だかどうでもよくなってきた



とりあえず無事にホワイトデーのお返しが出来てよかった



金ちゃん、大好きやで












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