先輩、頑張る
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『ちょ…ちょっと待ったぁぁぁぁぁ』



先輩に拒絶されて以来、俺はどうも引け目を感じてしまい先輩に触れるのを躊躇ってしまう

別に最後までしようとしたわけやない…多分


そりゃあ先輩とキス以上のことはしたいに決まってる


…せやけど先輩の嫌がることはしたないんっすわ




そんなこんなで今日…先輩がウチに来る


「おじゃまします!」

「ま、適当に座ってください」


先輩は何度も来ている俺の部屋なのに何故かキョロキョロと辺りを見回している

なんや、ちょっとソワソワしている気がする…

それに…

先輩はブラウスに短めのスカートを履いていた


……勘弁してくださいよ、可愛すぎなんですけど…


しかも俺の真横にちょこんと腰かける始末



「今日な、一緒にDVD見ようと思ってTSUT○YAで借りてきてん!」


そう言っていそいそと先輩が取り出したのは少し前に話題になっていた恋愛ものの映画


「あー…じゃあ見ましょか」





映画を見ている間も先輩は俺にぴったりくっついてきて、ふわりとシャンプーの香りがする

正直、先輩の方に意識が集中してもうて映画の内容なんか頭に入ってこやへん


すると映画に見入っていた先輩が少し身じろぎをした


なんや?
ふと画面を見るとなかなかのラブシーン真っ只中



……ほんまに勘弁してや



先輩の方を窺うと顔を赤らめながら俺の手を握ってきた


「…先輩?」

「財前くん…」


いつもと違い積極的な先輩に躊躇ってしまう


先輩は潤んだ瞳で俺を見上げてきて、だんだんと顔を近づけてきた


あっ、と思った時には唇に先輩の柔らかさを感じた


そのまま先輩はぐっと体を寄せ、俺の首に腕を回した



初めての先輩からのキスに固まっていると先輩は舌を捩じ込んできた

「…っ!」

一生懸命小さな舌を俺の舌に絡ませる先輩



いつもならあり得ない先輩の行動に俺は違和感を感じる


しばらくして唇が離れ、先輩は熱い瞳で俺を見つめてくる



「先輩……なんや今日…おかしくないですか」

先輩の目を見つめ返して言うと、先輩の瞳が揺らいだ


「そ…そんなことないよ…?」

「俺に嘘が通用すると思ってるんっすか?」


探るように見つめると、先輩は白状し始めた


「う………だ、だって……」

「だって…?」


すると、じわりと先輩の目に涙が浮かんだ


「ざ、財前くんに…こないだから…その……何か距離置かれてるような気がして…」


こないだ…?
……先輩に拒まれた時か…?


「わ…私がこないだ…つ、突き飛ばしてもうたから……」

「先輩…」



あの時のことを気にして…?


そっと抱き締めると先輩はほっと息をつき、続きを話し始めた


「それで白石に相談したら……拒まれたらなかなか手出されへんって…せやから私から…さ、誘えって…」


は…?白石部長が…?


「それで…私なりに…頑張ってみてんけど…」


濡れた瞳で見つめられ、俺の胸がどくんと波打つ



「先輩…それって、どういう意味か分かってやってるんですか?」


「う…ん」


「俺…先輩がいいって言うんやったら……もう止められませんよ…?」


「うん…」


「後から嫌って言ってもダメですよ…?」


「うん……財前くんの…好きにして?」


「っ!先輩…っ!」



俺は抱き締める力を強め、夢中で先輩の唇を求めた







先輩、頑張る

誘ってきたんは先輩なんですから、後悔しても知りませんよ…?






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