先輩は俺のもの
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「麻由ー!」

「なにー?」

「麻由先輩ー!」

「はぁい」




……

先輩と思いが通じて1週間、部活終わりは一緒に帰ったりたまにどっか寄り道したりしてだんだん恋人らしくなってきたと思う

せやけど…


「なんか先輩最近めっちゃ部員に声かけられてませんか?」

「え?そう?前からこんな感じやで?」

「…はぁ」



最近他の部員が先輩に声かけんのがえらい気になってしゃーない

付き合うてからますます独占欲が強なったんかな…






「どう思います?謙也さん」

「どう思うって言うてもなあ…麻由が前から人気あんのは財前も知っとるやろ?」

休憩中、たまたま近くにおった謙也さんに俺は尋ねた

「そうですけど…」

俺はやっぱりおもしろくなくてブスッと不貞腐れる

「…先輩は俺のやのに」

「まあ、まだお前と麻由が付き合うようになったっちゅーことを知らん奴が大半やからなぁ」

そうか…

「先輩が俺のやって分からせたらいいんすね」

「まあ…せやけど」

「…どうしたらええんでしょ?」

「うーん…普通に近くにおったらええんと違う?」

「……やってみますわ」





「先輩こっち」

「ん?なぁに?財前くん」

「別になんもないっすけど」

「なにそれー!」

とりあえず休憩のたびに俺は意味もなく先輩を呼んだり近くに行ったりしてみる


「おい財前ーお前用事ないのに麻由先輩呼ぶなやー!」

「せやせや!麻由先輩はみんなのもんや!」

すると他の部員たちにやいやい言われた



…いや、俺のやし





その日の練習が終わり、俺ははぁーっと壁にもたれ、溜め息をつく

ただ近くにおるだけやったらやっぱアカンかー…


俺はぼーっとコート内を走り回る先輩を目で追う




するとなんや同期の奴らがソワソワしながら先輩の元へ向かうのが目に入った

「…なんや?」

不審に思い、俺は静かに後を追う



「あの…麻由先輩、ちょっといいですか…?」

「ん?どうしたん?」

「え…と、ここじゃちょっと…」


そいつは先輩の手を取り、コートから連れ出そうとした


「なんやなんやー?」

「おっ!告白でもするんかー!?いいぞー!」

すると、周りがやいやいと盛り上がり始めた

「そ…そんなんちゃいます…!」


当人は野次を否定するものの先輩の手を離そうとしない

先輩はポカンとしてされるがままになっている



…せやから言うたでしょ
先輩は隙が多いって



「その手、離してもらおか」

「な…財前!?」


俺は先輩を掴んでいた手を振り払い、先輩の肩を引き寄せた

「財前くん?」


未だに状況が分かっていない先輩は呑気に俺の名前を呼ぶ


「…せやから、いつも言ってるでしょう?」

「え?」

「俺以外に隙見せたらダメやないですか」

「別に隙なんか…」

「まあ、ええ機会やわ」

「…何が?」

俺がボソッと呟くとキョトンとする先輩


「先輩こっち向いてください」

「え?財前くん?……んむっ」


俺は振り向いた先輩の唇を強引に塞いだ

「んっ!ざっ……んんぅ」

逃げようとする先輩の頭を抑え俺は再び口付ける


しばらく俺は触れるだけのキスを繰り返した


「ぷはっ!なっ…なっ…!こんなとこで何を…!」

唇を解放すると顔を真っ赤にして口をパクパクとする先輩

「先輩は俺のやっていうことを知らしめとかなあきませんから」

「〜っ!それにしても…やり方ってもんがあるやろ!」

ますます顔を赤くして先輩は抗議する

「えー?これでも加減しましたよ…舌入れてないでしょ?」

「っ!!」

「あ、それとも入れた方がよかったっすか?なんならもう1回…」

「わー!だめー!」

俺は喚く先輩の腰を引き寄せ、もう一度顔を近付けようとするも先輩は仰け反り抵抗する


「はいはい、財前その辺にしときやー」

すると、見かねた白石部長が俺の肩を掴み制止した

「もう麻由はお前のやってことは嫌ってほど分かったんとちゃう?」

謙也さんも呆れたように俺の元へやってくる

「ほら、みんな呆然としてるわ」


周りを見渡すと絶望したような顔をした部員たちが膝から崩れ落ちていた


「まあ、やっと目標達成ってとこですかね」

「う…こんなんしやんでも、私が好きなんは財前くんだけやのに…」

恥ずかしそうにしながら先輩が上目遣いで可愛いことを言ってくる

「ちょ…それは反則でしょ…」




「あー…今のでハートブレイクしたやつどれぐらいおるんやろか」

「…全滅やろ」


白石と謙也は甘い雰囲気の二人をやれやれといったように優しい目で見つめた





先輩は俺のもの


「先輩、俺もう我慢できません…キスさして下さい」

「あ…あとで!」

「じゃあ早よ帰りましょ」



…これで先輩は俺のもんやってことが分かったか?






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