09.先輩と告白
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「お疲れ様〜はい!」

「どーもっす」

練習休憩にいつものようにドリンクを配る先輩

コップを受け取るときわずかに指が触れ合うと、先輩は少しピクッと反応したがすぐにニコッと微笑み

「ゆっくり休んでね」

と言うと他の部員のもとへ行った


俺はドリンクを飲みながら触れ合った手をじっと見つめる

……少しは男として見てくれてはります?

ちょっとは進歩したんかな?


「財前ー何をニヤついてるんや?」

「…別にニヤついてません。謙也さんと一緒にしやんといて下さい」

「お前…」

頬をひきつらせながらも俺の横に腰掛ける謙也さん

「何で座るんっすか」

「別にええやろ?」

「…」


謙也さんは頬杖をつきながら先輩が去っていった方を見つめている

「財前は麻由のことどう思う?」

「…ぶはっ」

「うわ、汚いなー」

いきなり何を言い出すんやこの人は…
勢い余って吹き出してもうた

「麻由って結構人気あるねんなー…ほら見てみ、今コップ貰ってる奴ら…えらい嬉しそうにしとるわ」


…知ってますわそんなこと

俺がどれぐらい先輩のこと見てきたと思ってるんや


「…そうみたいっすね」

コップだけを見つめ、興味なさそうに答えた

そんな俺をしばらく見た後、謙也さんは小さく息を吐いて立ち上がり

「もうちょい素直になれよ」

クシャッと俺の頭を掻いて白石部長の元へ去っていった


「…意味わからへん」





その日の練習が終わり俺は学校を出た

「…あ」

が、部室に忘れ物をしたことを思い出し、再び部室へ向かった



「あれ……先輩……と部長?」

部室に向かう途中、目に入ったのは先輩と白石部長



「……で……やねん」


断片的に会話が耳に入ってくる


「……付き合ってくれへんかな?……」



「!」

今…何て言ったんや?

付き合ってくれ?


嘘やろ、部長も先輩のこと…?



先輩はにっこり微笑んで頷くと、部長も嬉しそうに笑い先輩の頭に手を置いた


「っ!」


その様子を見た俺は気が付くと二人のもとへ駆け寄っていた


「なんや、財前…!?」


俺は先輩の腕をつかみ、引き寄せると


「触らんといてください、麻由先輩は俺のんです」

「へ?財前くん…!?」


そのまま戸惑う先輩の手を取り、駆け出した





先輩と告白

相手が誰であろうと先輩は渡しません

先輩に触っていいのは俺だけっすから






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