そんなこんなでうだうだしているうちに時間はあっという間に過ぎていってしまうもので。

もう高校生3年の冬を迎えようとしていた。


今まで沢山の事があった

体育祭、夏休み、お誕生日会、
学祭、修学旅行など。

苗字呼びもいつの間にか呼び捨てで呼び合う仲にもなった

沢山あそんだ

時には喧嘩もした

どれも掛け替えのない思い出となるのだ。


ただ私は今だに想いを伝えられずにいた。

今までタイミングはなかったのか、と言われれば

タイミングなんていくらでもあったのだ


ただ、私に勇気がないから…。






「かずほ?」

「あれ、晴矢じゃん」


この時期私達は受験シーズンで大忙し

遊ぶ暇もなく勉強に明け暮れる日々

さっきも勉強していたのだ


「今帰んの?」

「そうだよー」

「俺も今帰るとこだし一緒に帰ろうぜ」

「おっけい!コンビニ寄ろうコンビニ」



とまあ、いつもと同じ流れで。

こんな事は珍しくはない。寧ろよくあることだったりする


「サッカーやりてぇなあ」

「私も。受験終わったらさ、部活のメンツ集めてやろうよ」

「お、いいなー。ヒロトあたりにも相談してみっか」



寒い寒いと唸りながらコンビニで買ったあんまんを食す。うまい。


やっぱり冬にはあんまんだね、というと「はあ?肉まんだろうが」と返ってきた。前はピザまんだった。



「受験終わったらあっという間なんだろうな」

「すぐ卒業だね」

「卒業か…」

「正直実感わかないよね」

「だよなー」



卒業

その言葉が少し重く感じた。

受験が終って、卒業してしまったら皆バラバラになってしまうのだ

まだ卒業を迎えるわけでもないのに、なんだか寂しくなってむしょうに泣きたくなった。



好き



この言葉が中々口に出せない



好き



私に、

勇気があれば。


KYかもしれないけど、言えるなら今にでも言ってしまいたい気持ちだ


ちょっぴり切なくて、胸がキュッと痛んだ



「お前明日学校いく?」

「たぶん行くかな」

「了解、そんじゃまた明日な」

「ばいばい」



また明日、

つまり明日晴矢も学校に来るということだ。明日が楽しみになった


まだ、

もう少し、

もう少しだけこの関係もいいのかもしれない。



(残り、)(10cmの勇気が)(あったなら)



 

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