ついに、朝が来ましたけれど。来ましたけれど!

今からドキドキが止まらない。変なテンションにお母さんにアンタどうしたの、と聞いてきたけど
まさか男の子とお出かけですなんて恥ずかしくて言える訳もなく。


学校が休みの日はいつもより少し遅めの起床
朝ごはん食べて、シャワーしたり服きたり髪の毛を少しいじってみたり。ちょっとだけ背伸びして身嗜み程度に薄化粧

うちの学校はお化粧禁止だから普段はあんまりしないんだけど今日は少しだけ。


そんなこんなしていると時間はあっという間に過ぎて行くわけで



― ピーン ポーン


「は、はーい!」


ついに来た…!

お母さんが出てしまう前にパタパタと私が先に出ると

いたのは南雲くんではなく、荷物をもった宅配の人だった。思わず肩を下げた


「おかーさーん!宅配ー!!」

「はいはーい」


お母さんが来るのを確認すると、軽く息を吐いてからリビングに戻る

飼い犬のコロちゃんが尻尾を振って寄ってくる。可愛いなぁ
へらぁ、と顔がだらし無くなるのを虫して棚にしまってあるジャーキーをあげると更に尻尾を振った


すると何だか玄関が騒がしくなった。正確にはお母さんが騒いでる。

「お母さんどうしたの……あ、」

「よっ」

「んもう!かずほったら彼氏いるなら教えなさいよね!」


原因は、宅配の人と入れ違いに来たと思われる南雲くんだった。お母さんは何やら興奮して私の背中をバシバシと叩きまくる いたいいたい痛いからお母さん!!南雲くんなんか苦笑いだからね!

そして「彼氏」というワードにポッと頬が熱くなった。


「今日はどこかにお出かけかしら?」

「はい、少し駅前に」

「あらそう〜!楽しんでらっしゃいね!うちの娘はチンチクリンだけど、よろしくしてやってね!」

「も、もう!お母さんもういいでしょ!」

顔を真っ赤にしてお母さんをリビングに押しやる。
「今日は赤飯ね!」とか言って張り切っていたけど無視をして家を出た

制服とユニフォーム姿しか見たことがなく、見慣れぬ私服姿に少しドキドキした。


「ごめんね南雲くん、うちのお母さんうるさくて…」

「はは、いいお母さんじゃん」

「ふふっ、あれでも自慢の母だからね」



そこから何ともない話をしながらお店に向かう。
券の内容は、どうやら1つ分のケーキの値段でケーキが5個も食べれる、というもの。なんてお得何だろう。


お店についたら1つは食べて残り4つは持ち帰ろうということになった。


南雲くんはモンブラン、私はチョコレートケーキを選んだ

「南雲くんってケーキ好きなの?」

「おう、甘いものとか結構好きだぜ」

「なんか意外だね」


ふふっ、と笑えば「よく言われる」と返ってきた。甘いもの好き、そんな意外な一面もなんか可愛いなぁ、なんてね。



食べ終わり少し雑談すると、そこら辺のお店を回ろうということになった


駅前のお店はそんなにうろついたことが無かったから知らなかったけど色んなお店があるものだ


「みてこれ!南雲くんそっくり!」

「どれどれ…ってチューリップじゃねえかよ!」

それはチューリップに可愛らしい顔がついたぬいぐるみ。なかなかキレの良いツッコミに思わず笑った



あちらこちら見て、そろそろいい時間だし帰ることになった


「南雲くん、今日誘ってくれてありがと!すごく楽しかった」

「んや、俺こそありがとな。誘ってよかったぜ」


綺麗に微笑む南雲くんに少し見とれそうになった。
あわてて我に帰り「それじゃあまた明日」と手を振る


― ガシッ

途端に手首が捕まれる。トクン、と胸が跳ねた


「その…服、似合ってるぜ。か、かわいい…。」

南雲くんは顔を真っ赤にして去っていった。

また言い逃げ…。


私も南雲くんに負けないくらいに顔が赤くなってただろう




(好きなの)(好きでしょ?)



 

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