ピリリリリ ピリリリリ

ある日の土曜日の夜
部屋でのんびりと雑誌を読んでいる時に、初期設定のままの着信音が部屋中に鳴り響いた


― 南雲くん

「…!、南雲くんからだ…」


予想外の相手に心拍を早めながら携帯をとる


「も、もしもし…」

『もしもし、大山か?』

「うん、大山だよ」


機械を通し、いつもと少し違うように聞こえるけどいつもの南雲くんの声が耳の中に心地よく響く


『あのーよ、この前駅前に新しくできた○○っつうケーキ屋行きたいみたいなこと言ってただろ?』
「言ってたかも、」


とく とく とく

ちょっとした期待が体中を駆け巡る


『それでさ、ねーちゃんがいらないって言って割引券みたいなの貰ったんだけど、明日いかね?』

ふたりで、と付け足す

つまり、

それは、

デート…?だよね

ポッと頬が温まる

「う、うん!全然いいよ!」

『へへっ、そっか、ありがとな!したら明日昼前くらいに迎えに行くから』

「むむむ迎え…?!」

『あっ、いや…、迷惑だったら現地待ち合わせでも…』

「ううん!迷惑なんてことない!ありがと」


こんなやり取りにリア充かっ!と心の中でツッコミを入れる

なんかそんな感じがして少し恥ずかしかった


『んじゃあ明日よろしくな』

「うん、こちらこそ!」

『おう、おやすみ』

「おやすみなさい」


自分から電話を切るのが惜しくてそのまま待つと電話はプツリと切れた。少し寂しいかな、なんて。



でででも明日、南雲くんと、二人で……

「う、うあああああっ」


パフンッとクッションに顔を埋め小さく叫ぶ

今から緊張がたえません。


って!こんなことしちゃいられない!



夜な夜な私の部屋でファッションショーが繰り広げられた。



(うわわわわ!)(どうしよ!)(どんな感じのがいいのかな…?!)



 

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