「あ、村上じゃないか!」
「…………。」
円堂守と名乗った私の嫌いな人は今日も私を見つけてはこうしてチョッカイをかけてくる。いい迷惑だ。
それから何処から知ったのか名前を知られていた。
本当面倒臭い。私は無視しても懲りずにこの調子で、本当なんなのよ……。
「なぁ何で無視するんだ?やっぱり俺、嫌になることしたか?」
えぇ、今現在進行系でね!心の中で毒を吐く
「俺は村上と友達になりたいんだよ!」
ピクリ、
友達、という言葉に思わず反応してしまう。
友達……。こんな私にも一応過去には友達がいた。
小さい頃は今と違って割と積極的だったし、まるで空気だなんてことは……あったかもしれないけど今程ではなかった。
でも当時、凄く仲の良よかった友達は何も言わず、知らないうちにどこかに行ってしまった。
それからというもの私はいつも一人だった気がする。
元々空気要員ではあったけど、そのころから更に磨きがかかったのだろう。
けど彼、円堂は言ったのだ。私と友達になりたいと。
今まで何度かこういう事は合ったけど結局は皆離れていってしまう。
離れる、というより忘れられる、の方が正解かもしれない。
つまりそういうこと。彼も皆と同じように私のことなんて気にしなくなるんだ。
「なあってば!」
「うるさい……」
「うん?」
「うるさいって言ってんの!私に話し掛けないでよ。」
あーあ。最悪。どうして私はこんなに性格が捻くれてるんだろう
いつも笑顔な彼が少し切なそうにする表情を見てチリッと胸が痛くなった。
どうして貴方がそんな顔するのよ。
「なんで村上はそうやって一人になろうとするんだ?」
「は?」
「だってそうじゃないか!今だって俺を突き放そうとした」
「あんたに、何がわかるのよ……」
結局は忘れちゃうんだもの、一緒じゃない。
「俺には村上の事なんてわからない。けど突き放すことはないんじゃないか?」
「なに?説教でもする気?」
「そういうんじゃない!俺は村上が心配なんだよ!」
「うるさい、心配される筋合いはないけど。」
すると彼は俯く。
こいつに何がわかるのよ。周りに沢山人が集まるこいつに。
そもそも主役とモブとじゃ立場が違うのよ。不釣り合い。いちいち突っ掛かってくるコイツに腹がたつ。
俯いたまま拳をぎゅっと握りしめ、ぷるぷると肩を震わせ始めた。
やだ……もしかして泣いてる……?
「ちょ──」
「俺!諦めないからな!!」
声をかけようとしたらガバッと顔を上げ、更には私の両手を掴んでぐいっと顔を寄せられる
「ち、近っ……!」
「今日、俺部活休みなんだ!」
「はぁ?」
「だから、一緒に帰ろうな!教室に迎えにくるから!」
それじゃ!といつもの笑顔をにかっ!と作り去って行った。
なんなのよ……。
放課後はアイツが来る前に早く帰ってしまおうと決めた。
(村上があんなに話してくれたの初めてだ!!)(早く放課後にならないかなー!)((円堂のやつ今日も機嫌いいな……))
‐‐‐‐
み、短い……。
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