あれからというもの、仲直り(?)をしてから以前の様な関係に戻りつつあった。

若干ぎこちなかったりする時もあるが、大差変わりはなかった。


その事に、何故だか私は喜びを感じていたのだ。なぜ喜んでいるのだろう。不思議でたまらなかった。でも彼といる時は何だか心地がよくて……、私はいったいどうしてしまったのだろう




「村上ーっ!」


今日もお昼休みになるとお弁当をもった円堂が私を呼ぶ。これも慣れたものだ。はいはい、とダルく返事を返せば彼はすぐ笑顔になる、謎だ。







「卵焼きうまい!最高だよ村上!」

「そりゃどうも」


彼がこうして私のお弁当からおかずを奪い取るのも日常茶飯事である





「ところで村上、聞きたいことが……」

「……何よ」

「えーっと……俺達が初めて会った時、村上は俺の事が嫌いだっていっただろ?」


その問いにぎこちなく頷くと円堂はなにやら気まずそうに話しをすすめる


「その……まだ俺のこと嫌いだったりするのかな、って思ってさ」


私は思わず食べすすめる動きを止めた。正直、私はわからなかった。嫌い嫌いだといいながらこうして同じ空間を共にしているのだから。

本当に嫌なら突き放すことだって出来たはずなのだから。


「村上……?」


「別に。嫌いじゃあない、よ」

「ほ、ほんとか……?!」

「そうだって言ってるじゃない」

「〜〜っっよかったあああ!本当よかったよ!俺、これからも村上をつきまとうから!」



……どうやらつきまとっている自覚はあったらしい。自分で言うのもどうなんだ円堂よ




「なあ、最近図書室にいないのは鉄塔広場に行ってるからなのか?」

「うん」

「そっか!んじゃあ今日は図書室な!」

「は…?何でよ」

「久しぶりに一緒に帰ろうぜ!それから俺うんまいアイス屋知ってるから寄ってこう!なっ?」

「まぁ、いいんじゃない」

「よっしゃあ!」


ふふふ、となんだか変なふうに笑う円堂に顔をしかめる


「なによ、気持ち悪い」

「いやぁ、村上丸くなったなーって」

「……そうかな」

「そうだって!ちょっとツンツンしてるけど、話しかけても返してくれるし」


それからいくつも例をあげられた。そんなに変わったのだろうか




「そんじゃ、放課後な!」


腕をぶんぶんと大きく振りながら教室に帰っていく円堂に軽く手を振り見送った

すると唐突に後ろから名前を呼ばれ肩がはねた


「あ…豪炎寺……」

「円堂と、仲直りしたんだな」

「……まあ」

「よかったじゃないか。これで部活にも身が入るだろう」

「……」

「フッ…それじゃあな」



ヤツは本当に神出鬼没である。地味に心臓に悪い人物だ

これからは周りにも気をつけよう。







 



いつからだろう。

今までモブだから、空気だからと諦めていたのに……いつしか彼のように、輝きたい。そう思ったのは。

もしかしたら私は円堂が羨ましかったのかもしれない。


それが無理な話しでも思うだけなら自由だろう



(私も)(輝きたい)




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