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腕の中で気を失っている女を眺めながら思いの外あっさりと動き出した事に男は実感を感じ得ずにいた。
ドミネーターの執行も特に問題なく、その役目をしっかりと果たしていた。

何も不備はない。この後未だ目を覚まさない彼女には申し訳ない仕打ちをしてしまうが、それも計画にとって決してなくてはならない事だ。
ただ罪悪感とは別の何かが胸を埋め尽くしている。
それは今この場に懐くにはとても不釣り合いともいえる、予感への高鳴り。

しかしその期待を上回る形で現実は男に大きな慟哭を与える。

公園の入口から近付いてくる気配に物陰に隠れ様子を伺えば、その視界に飛び込んできたのは男がよく知る人物だった。

幼い頃からずっと傍に居る事を望んだ存在。
今はもう自分一人の体ではなくなってしまい叶わぬ願いになったが。
それでも何処かで生きていてくれれば良かった、そう思っていたのに。

「郁…君まで、」

それはどこまでも男一人の心の底からの嘆きだった。
数多ある人格のどれでもない、本当の男自身の言葉だった。
溢れ出す涙を拭いながら男は音もなく立ち上がる。

「必ず君も救ってみせる」






(一方での再会)
(確かに声は届いてた)

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