code 16


静かなエレベーターの中

恐らく犯人はこちらにいる可能性が高いからか集中が高まり誰一人言葉を発さない。

それでも空気が張り詰めている訳ではない
どこか安堵するような空気が流れているのは、最近よく組まされるメンバーだからか。

「なんでそれを?」

ふと隣から聞こえる朱の疑問の声。名奈は朱の視線の先を辿る
するとそこにはこの場にそぐわない大きな酒の瓶があった。

昔から征陸と仕事をしている名奈や狡噛にとっては然程珍しい光景ではない。用途が分からず混乱する朱に征陸は苦笑いを返す。

「違法ホログラフの対策には強い酒が一番なのさ」

「二十歳になってからの豆知識だな」
『それじゃあ未成年の前で話さないで下さい』

何の事はないといった表情で冗談をかまし合う二人に朱は更に首を傾げる

『気にしないで下さい、すぐにわかるんで』
「はぁ…」


#


カードキーを差し込むと同時になるロックの解ける音

途端四人の顔に緊張がはしる

ここからは慎重に行かなければならない。
犯人はクラッキング技術だけではなく爆発物まで使いこなす危険な人物である。
・・
無傷で取り逃がすことは絶対に許されない

扉を挟んで向かい側に居る狡噛に朱は確認の合図をとる。
狡噛が一つ頷く
それを合図に扉が勢いよく開く

室内に響く狡噛と征陸の足音

「名奈ちゃんはここで」
『はい。わかってます」

朱も後を追うように中へと駆けていく。
話し合いにより名奈は入り口に隠れて待機ということになっていた。
その理由は確実に御堂に手傷を負わせる為


四人がこのホテルに来たように
御堂の自宅にも宜野座達が向かっている。
怪我を負った興奮状態で向かう先など自宅しかないとよんだ上での対策

もし中で手傷を負わせる事が出来なかった場合は名奈が仕留める為に分かれて待機しているのだ。


「公案局です。御堂将剛、
サイコパスの提示を要求します。出てきて下さい」

万全の警戒体制
抜かりはないと確信していた。




だからこそ

「!」
『なっ!?」

忘れていた。


"ガシッ"

『っ…離して!』


自分が一番に警戒すべき事を。


(蘇る悪夢)
(抗う術は未だ持たず)

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