code 14

結論から言うとスプーキーブーギーこと菅原祥子は殺害されていた。

話が纏まったところでスプーキーブーギーが一体誰なのか?
それを朱の同級生の中からアフィリエイト収入で絞り込んだ結果彼女の名前がでてきたのだ


『昨日のエグゾゼの後に…でしょうか?』
「あぁ、恐らくな。
   まったくもって上手くいかないもんだ。嬢ちゃんもヘコんじまってるし…」

鏡の前に立ったきり微動だにしない朱。
直接顔色は窺えないが、微かに鏡に映る口元が歪められている

「私のせいで彼女を巻き込んでしまって…」
『朱ちゃん』
「私が悪いんです、私のせいで…」

やけになって自虐を始める朱に耐えられなくなった名奈は彼女の前に立って肩を思い切り掴む

『朱ちゃんはスプーキーブーギーを囮に使いましたか?』
「ううん」
『彼女に協力を強制しましたか?』
「ううん」
『敵に彼女の情報を流しましたか?』
「ううん」

責めたてるような口調で話す名奈に朱の声は尻すぼみしていく

辛いだろうが今はこうするしか名奈には彼女を説得する方法がなかった。
何も一人で全て背負い込む必要はない。

そういう葛藤に苛まれるのは自分達だけで充分なのだから

『じゃあ、朱ちゃんに落ち度はないじゃないですか』
「それは… でも現に彼女は…」
『えぇ、昨日の時点で捕まえていれば確かに彼女は亡くならないですんだでしょう…
だから私達全員の落ち度です』
「!」
『今は彼女の為にも責任を果たす事だけを考えましょう』

今の自分達に出来ることは犯人を探しだし、然るべき裁きを受けさせる事。
ここで悲しむだけなどなんの償いにもならないのだから。

「ありがとう名奈ちゃん」

力強い瞳で此方を見つめ返す朱
光が宿ったそれには大きな意志が感じられた


そのまま部屋を出ていった朱の背中を見つめていると頭の上に手が置かれた感覚がする

「珍しいな」
『狡噛さん…』

手の主を見上げると彼は目尻を細めて名奈を見ていた。

「お前が誰かを必死に説得するのは久し振りに見た」
『私がしなければきっと狡噛さんがしてましたよね?』
「まぁな。」

当たり前だというように返事をする狡噛
そんな彼に名奈は小さな笑みを浮かべる

『私は狡噛さんの真似しただけですから』

次の瞬間、狡噛は名奈を思い切り引っ張った。

「お前だって悔しかった筈なのにな」
『……!』
「よく頑張ったな」

そう言って抱き締める腕に力をいれる彼に名奈は内心で舌を巻いていた。

正直な話、朱がああしておちこんでいなければ名奈がその立場になって嘆いていただろう。
それでも自分より弱くて小さい彼女を見て思ったのだ。
守られるだけではいけない、
弱虫ではいけないと。

『いつまでも子供扱いしないで下さい』

口から出るのは強がりな台詞
しかし心は正直で、そこにある温もりに頼るように狡噛のシャツの裾を握りこむ

そんな名奈の背中を狡噛は安心させるように何度も撫でる

「じゃあ捜査に戻るとするか、雨宮執行官殿」
『…からかわないで下さい』


(彩られて色移り)
(そうして私も貴方に染まる)

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