code 27

小さいドローンが部屋の中を動き回って隅々をスキャンする。
細かな所まで調べるがこれといった手がかりは未だ見つからず…

「手掛かりは皆無か…」
『ですね、半分くらい生活感もなくなりかけてますし』
「更に笑えない新情報〜」

そう言いながらコミッサちゃんの格好を模した縢が部屋に入って来る。

「二年生で二人のばかり寮から消えた生徒がいるそうで、実家に問い合わせても帰宅してない
完璧に行方不明っすよ」
『…っ』

事態は悪化していくばかりで捜査が追いついていかない。
焦りだけが心の中に募っていく感覚に名奈は唇を噛みしめる。

「しかし妙な話だな。校舎も学生寮も軍事施設並みの厳戒体制ここから犠牲者を連れ出す方法なんてあるのか?」
「そもそも何故今になって桜霜学園の生徒ばかり標的にする?」

苦虫を噛み潰したような顔をする名奈を横目に征陸と宜野座は話を続ける。

「藤間にとってこの学園は、いわば古巣です。何処か警備の穴になる抜け道を知っていたのかも。」
「ありえますよねー。この学園創設百年でしたっけ? 敷地の中増減築の繰り返しで見取り図とかもヒドいもんっすよ。」
「まさか、殺しの現場も犯人の隠れ家も全部学園の中って事はないですか?」

六合塚の発言に沈黙が流れる。



『…私、職員室に行って増減築に付いて記入漏れに心当たりある場所ないか聞いてきます』
「…分かった、慎重にな」
『はい』


宜野座は名奈を一人で行動させる事に異議を唱えようとする。
だが彼女の表情を見てそれも辞めた。
いつになく真剣な顔をしている名奈を止めるのは憚られた。


そんな宜野座の心遣いを感じとった名奈は小さく頷く。
改めて現状の深刻さを感じながら名奈は部屋を後にした。





(零れそうな嗚咽)
(後悔だけなら幾らでも出来るのに)

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