code 8

「狡噛さんの事ですか?」
部屋を訪ねてきた朱が狡噛の事を教えて欲しいと言ってきた。

早朝に聞きにくるのだから余程深刻で重要な用件なのかと思っていたが、そうでもないらしい
 
「昨日話を聞いたら狡噛さんにはやり残した事があるって言っていて、名奈ちゃん何の事か知らない?」

訂正しよう、かなり重要な事だ

事情を知らない朱にとっては興味本位で聞いた事なのだろうがこの件に関しては自分も簡単に口は開けない。

"あの人"の仇を取ることは今でも狡噛が命懸けでやっている。
それを彼の足を引っぱることで邪魔する訳にはいかない

「すいません、心辺りなくて…」
「そっかぁ、名奈ちゃんなら知ってるかと思ったのに。」
「どうしてですか?」
「だって狡噛さん凄く名奈ちゃんの事心配してたから、仲いいのかと思って…」
朱の発言に名奈は思わず顔を赤らめる。

まさか狡噛が自分の心配をしてくれていたなんて、そう考えていただけで顔が熱くなる。

ついでに昨日自分がしようとしていた事も思い出してしまった
随分と大胆なことをしようとしたものだ

「名奈ちゃん、顔赤いよ」
「え、ウ、ウソ!」
「本当だよ。もしかして名奈ちゃん…狡噛さんのこと好きなの?」
「へ!」

意地悪な顔をした朱が楽しげに問うてくる。
完璧に逃げ場が無くなってしまった状況に名奈は焦る

アタフタしている名奈を見て朱は自分の勘が当たっている事を確信する

「ふ〜ん、そうなんだ」
「それは一応お付き合いしてますから」
「……」
「朱ちゃん?」

急に静かになった朱に名奈は焦る。

何か不味い事を言ってしまっただろうかと…

すると朱がいきなり肩を掴んでくる
「付き合ってるって、あの狡噛さんと!」
「は、はい…」
「ウソ…意外すぎる」

余程信じられないのか朱は固まってしまっている

確かに自分と狡噛は9つも歳が違う。
何より狡噛が恋人に甘えたりしている姿は付き合い始めた当初は想像つかなかった。朱の反応も納得できる。
「狡噛さん見た目によらず優しいですよ」
「そうなんだぁ…」
「きっといつか分かりますよ」

付き合い始めて分かった事がある
彼は正義感がとても強く人間味のある人だ。
それが伝わる事はかなり稀であるが…
朱のような人ならきっと理解してくれる
だろう

「あと詳しい事なら征陸さんに聞いたらどうでしょう?きっと私より狡噛さんの事分かっていますから」
「分かった、今から行ってみる
また後でね名奈ちゃん」
「はい。」

朱が走り去る後ろ姿を見つめながら名奈は呟く。
「気を付けて下さい朱ちゃん、でないと貴方は越えていけない線まで越えてしまいますよ…」

(理解と感化)
(それは瓜二つであり、全く別物)

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