烏野戦前夜

2014/08/15 00:43

一通り伊達高と烏野の試合を録画したDVDを見終えて一息つく。
岩ちゃんに夜更かししないって言ったけどちょっと嘘になってしまったななんて思う。
ふとチカチカ点滅してる携帯が目に入って開いて見ればそこには珍しくもう一人の幼馴染みの名前があった。

「早く寝ろって、それだけー」

件名も余談もなし、一行にも満たない文字に思わず苦笑してしまう。

「こういうときは頑張ってとか励ましの言葉が常套だよっと」

それでも多分他の誰かからの激励の言葉より彼女の飾り気のない言葉の方が100倍効果があるのは今までに体験済みなのだからどうしようもない。

次第に沸いてくる温かい感情ににまにまと口許が緩む。メールが送信されたのを確認して携帯を閉じて窓の方へと視線を向ける。
向かいにみえる窓からも小さく光が漏れていて、人のこと言えないじゃんって思う。
岩ちゃんに変なところで似てるって言われるのはこういう所なのかな。

「お互いこんなところで負けて終わるわけにはいかないもんね」

俺には牛若ちゃんに勝たなきゃいけないっていう目標があるし瑞代にだって代表常連の高校にをやぶらやきゃっていう目標がある。
おんなじ土俵で戦うことはないけどそれでも勝つために挑戦してってるってのは違わないから。


--翌朝--


「あ!」
『...おはよう』
「そうだ、昨日はメールありがとね。及川さん久し振りの瑞代からの激励に嬉しくて涙でちゃった」
『......』
「イタイっ!何で叩くの」
『一に夜更かししないか見張っててって言われただけだし、激励した覚えはない』
「そんなこと言っちゃってー、あれは瑞代なりの頑張ってだって知って、イタッ、イタタタ!止めて、髪の毛抜けちゃう!!」
『そのまま禿げろ、グズ川』
「あぁ、また岩ちゃんみたいなこと言う」






オチなし




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