-その後-


いつもなら身も心もほぐれるピーチのバスソルトも、今宵ばかりは味気ない。

「……はぁ……」

溜息の度に、踵を返した後ろ姿が瞼の裏で何度も何度も遠く小さく離れていく。
――タイミングが悪かった。それだけだ。

「はぁ――……」

一際深い溜息を最後に、湯船から上がる。バスタオルを巻き付けて部屋に戻ると、ぶすぶすと燻りだしそうな顔をした少年が、一人ソファに胡座をかいて待っていた。

「……よぉ」

居心地の悪そうな――不機嫌さと気まずさが混ざった――視線を向けられては、いつものように不法侵入を咎めたり出来ない。

ルーティーンを崩されると、何をどうしたらいいのか途端にわからなくなる。
呆然と突っ立っていると、ゆらりとナツの方が腰を上げ、近付いてきた。

「ルーシィ、後ろ向け」
「ぇ、え? わっ……ちょっ……」

まごつく肩を強引に反転させた手が、その胸元に細いチェーンを掛けてくる。
トップには円いカットのピンクオパール。

――一体、誰が吹き込んだのか。
キューピッドと言われる、この石の名を。


***
「じゃぁいい」なナツは悶々とした後に結局押し掛けるんだ!と自己解釈したゆんにナツが渡しにくるver.も書いて下さったゆーくさま、本当にありがとうございます!!

後悔を漂わせるルーシィが憂いを帯びててぞくぞくしたのは内緒です。
ぶす、としながらルーシィを待っている間一体何を考えていたのやらv
そして、強引に押し付ける仕草がまた…!
や、もう素敵過ぎです。
更にキューピッドの石…。
悶えて動けなくなりそうなシチュエーションvv
ゆーく様、本当にありがとうございました!


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