バレンタインSSS:05
―とても難しくて簡単なこと
     とても簡単で難しいこと―



バレンタインデーのベクトルについて、邪推憶測取り混ぜて花を咲かせていると、

「動かないでね、ルーシィ」
「え、ちょっ……ロキ!? なな何!?」

話し相手の背後、粒子の渦から伸びた腕。
細首に回されるオープンハートのネックレスを口ばかりに羨んでいると、ずしずしと不機嫌げな桜色が視界に入ってきた。

(あっ……ちゃ〜〜〜〜……)

睨む手には、裸のネックレス。トップにはピンクの石が揺れ、明らかにルーシィのために選ばれたものだと察しが付いた。

ベクトルがぶつかるのは知っていても、さすがに予想外のバッティング。

二人の睨み合いに困り果てたルーシィから助けを求める視線を投げられ、譲ってあげないのとカウンター越しのロキに囁く。

「酷いな、先に来たのは僕だよ。今日ルーシィにネックレスをあげるのは僕」

答える声は大きく、その語調はほとんどナツに向けて言い放たれていた。

「ふん。……じゃあ、いい」

呼び止める間もなく、踵を返した少年は遠ざかる。あっとあげかかった声を呑むルーシィが憐れで、思わず嘆息した。

我を通すことなど難しく見えて簡単だ。しかし愛情を貫くのは簡単に見えて難しい。
同じに見えて、二つは相反する時もある。

(二人とも……気持ちはよくわかるけど)
(主役にそんな顔、させないの!)


-その後-
***
Absurd Lovers:ゆーく様よりバレンタインデー企画SSSリクに参加させて頂きました。

好きなCPを何も考えずにお願いしてしまったけれど考えてみればお題に対して、ナツに頭使う内容って難易度たかっ!と思ってドキドキしていたら…
さすがゆーくさまにございます!

ナツとロキのプレゼントバッティング!(きゃー!
しかも取り合い!そして嫉妬!更にルーシィの「あっ」って!!可愛過ぎてどうしましょう。

「じゃぁいい」なナツ、絶対悶々と考えた末にルーシィの家に押し掛けるんですね、わかります(違ナツが、可愛くて男前v
ロキがわがまま王子v
このふたりのルーシィの取り合いが大好きです。

ゆーくさま*
素敵な企画、ありがとうございます!
そして素敵なsssを本当にありがとうございました!!


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