視界の先でふわふわと揺れる金糸。
ゆらゆらと靡く青いリボン。
無造作にそれを掴んでみればびくり、と背中が強張った。

「な、なに?」

そろり、と顔だけ傾けるルーシィは怪訝な表情をしている。

 (なんで俺が怖がられなきゃなんねぇんだよ)

警戒したように身体が強張っていることが不意に不快感を煽ってきて。

「別に」

身体ごと離れようとする思考に逆らって動いたのは首だけだった。

 (離れるのは…なんかいやだな)
 (ん?…なんでだ?)

次いで浮かび上がってきた疑問に頭を傾げて未だ真っ直ぐに向けられる瞳を眺める。
揺れる瞳に映し出される姿はぽかん、と口を開けていた。

 (ルーシィ…だから)

唐突に理解した瞬間、何故か熱が上がった気がして思わず俯く。

「…ナツ?」

どうかしたの、と触れてくる指先がさらり、と頬を撫でて。
心地好さに眼を細めて気付かれないように小さく安堵の息を吐いた。
しばらくされるがままに触れてくる手に身を任せていれば、くすり、と笑みが零れ落ちる。

「なんか…猫みたいね」
「ハッピーか?」
「…そうねぇ、ハッピーのが可愛げがあるかもね」

くすくす、と悪戯に笑うルーシィがいつもよりずっと穏やかに見えて温かそうだった。
惹かれるままにその肩へ頭を乗せて、瞼を閉じる。

「眠い」
「ちょ、ナツ!?」

びくり、と肩が跳ねてまた強張った。
気付かない振りして力を抜けばゆっくりと溜息が吐き出される。
ルーシィが自分を受け入れる、ただそれだけのことが嬉しくて。
緩む口元を隠すようにマフラーを引き上げればじとり、と睨まれた気がした。

「起きてるでしょ」
「…………寝てる」
「起きてんじゃないっ!」

まったくもう、と文句を言いながらも無理に退かそうとしないルーシィ。
片目を開けて様子を窺えば、先ほどまで夢中になっていた本に視線を戻していた。
ぱらり、と捲られるページ。
穏やかな空気。
幸せだ、と感じながら欠伸をひとつ。
再び瞼を閉じた。


fin.
***
Qualia:ぱんだ様へ相互記念に書かせて頂きました!

ナツルーであまーいの、ということだったのですが…!
単にほのぼのしただけな気が…うむむ。
いあ、ゆんの中では甘いです!とか言い張ってみる。

a sunny place:陽溜まり

ぱんださまのみお持ち帰り可。
相互、本当にありがとうございました^^*!!


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