揺れるリボンがふわふわと風に逆らって。
無造作に振られる腕が視界の端を過って。
楽しそうに笑う声が、ぼんやりとした意識の中に安らぎを生み出した。
それに理由を付けるなら、陽に透けてきらきらと反射する金糸が柔らかく踊るから。
自然と緩む口許が笑みを模って、ナツは大きく手を振る。

「また明日な!」
「うん!」

夕焼けに染まる空を背に満面の笑みを浮かべたルーシィは何故か優しくて。
くるりと振り向く仕草に思わず息が止まった。
瞼に焼き付いたように、ルーシィが視界から消えなくて。
胸の内をざわつかせては気を逸らせる。
だから―――今朝はいつもより早くギルドに来てしまったし、扉が開く度にルーシィを探した。
それなのに、一向に待ち望む相手は現れなくて。
次第に苛立って、その内に不安が過り始める。
時計の短針が1を回った頃、遂にナツはギルドを飛び出して。
真っ直ぐにルーシィの家へ向かった。
息を吸い込むことも忘れて、無我夢中で走って。
沸騰しそうな程に脈打つ熱が唯只管にルーシィだけを求める。
勢いのまま乱暴に開けた窓は相変わらず鍵が掛かっていなくて。
転がるように侵入した部屋は沈黙で包まれていた。
真っ先に捉えたのは見慣れた金髪。
次いで聴こえたのは規則正しい呼吸の音。

「―――っ……な、んだよ」

抜けた力に倣ってしゃがみ込むと吐き出した息が熱く鼻先を掠める。
目の前に垂れてきた桜髪は濡れていて。
水滴がぽたりぽたりと床へ染みを作っていった。
当のルーシィと言えば、そんな熱気を知る由もなく心地良さそうな寝息を立てている。
ナツは呆れたように大きく息を吐き出すと額から流れる汗を拭いながらゆっくりとルーシィへ近付いた。
そのまま誘われるように頬へ指先を伸ばせば、ルーシィは小さく唸ると眉間に皺を寄せる。
起きる気配は未だなくて、擽るように人差し指を唇へ動かすとルーシィの口許が緩く開いた。
幸せそうに微笑むルーシィはいつもより無防備で。
寝てれば可愛いのに、なんてらしくもない想いに苦笑する。

「……さーて、寝てる間にどんなイタズラしてやろうか」

脳裏を過った想いを誤魔化すようにひとり呟いて。
ベッドの端へ寄りかかると急激に襲ってきた睡魔に欠伸ひとつ。
寄り添うように眠りへ落ちた。


だ側に感じるだけで
が落ち着く不思議


fin.
***
夢うつつ:志保様へちゃっかり相互記念に書かせて頂きました。

いあ、本当は志保さんとこのナツル愛に釣られて突発的に書いてみました。

`寝てるルーちゃんの口元を優しげな顔ですっと手で触れるナツ君と、こそばゆくて寝ながらふにゃっと笑うルーちゃんみたいなの。`という素敵ネタをふんわりな感じで表現してみたかったんだけど。
なんというかまぁ、表現力不足が否めないのは仕様。
ナツのルーシィへの愛とナツルー愛を満載に込めました。

御挨拶にも伺ってないので順序逆だろって感じですが。
なんだかんだ志保さんのことをストーカーしてることを暴露しますっ!(キリッ

こんなゆんですが、今後ともよろしくお願いします。
そして、今更ですが相互ありがとうございました!

もしお気に召して頂ければお持ち下さい。
志保さまのみお持ち帰り可。


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